第12章 知らせ
アイツは…
千恵美は…ただの、
関係を持っていた女の一人だ。
好きと口にしなくても、
何も考えなくたって女は寄ってきた。
面倒臭そうな女は遠巻きにして、
排泄欲するためだけに決めた女を抱いた。
恋を求めることできなかったら、
SEXに求めた。
これは自分の欲求だから「好き」の感情なのか?
「考えれば考えるほど分かんねえよ…っ…!
もうアイツとは離婚するって決めた。
明日市役所にいって離婚届を取りに行く。
俺の子供じゃないのに、
育てる義務なんてねえだろ。
好きでもない女と結婚して一生過ごせってのか。
無理だろッ、そんなの…っ…」
考えたくない。
考え直したくなんかない。
理由が何であれ嘘をつかれた。
理由を知ったところで何も代わりやしない。
何も修復なんてしない。
終わったんだ。
「こんなことなら
ユウと結婚したかったよ…っ…」
ユウが愛だの恋を語るなら、
どんな女なんかよりも
ユウの方が何倍も好きだ。
横にいたユウの身体をまた抱きしめる。
男っぽくてゴツゴツしてる。
けど安心する。
嗅ぎ慣れたいい匂いがする。
長くて綺麗な金髪を、指に絡ませると。
「しゃ、シャワー浴びてきたら?
夕飯はもう食べたの?
酒のつまみも準備しなきゃだし…」
「あぁ…。そういや俺、
昨日あんま寝てなかった」
「え。じゃあすぐ寝る?」
「…そうする」
感情をぶつけたら少し治まって、
シャワーを浴びることにした。