第2章 距離感
「おまえの言っていることはよく分からん。
前の会社で嫌がらせを受けたのか?」
「分かってるなら聞かないでくださいよ!!
俺はもう…っ」
この会社辞める、とでも言いだしそうだった。
そう言われる前に
肩を掴む。
「おまえの取り乱している理由は分かった。
俺は何も上から聞かされちゃいない。
おまえの口から聞かない限り、
俺は何も知っちゃいない」
人には言えないようなこと。
錯乱するほどの嫌がらせを受けた。
未だに正体不明だが、
角が…
その正体に悩まされている事実を知れて、
安堵する自分がいたのは確かだった。