第11章 男の身体 *
湊を、抱きたいと思っていた。
だから呼んで確かめたかった。
「すま…」
「謝らないでください。
牛垣さんは何も悪くないんです。
俺が、勝手に期待しちゃったから
…いいです。
謝らないでください…っ…」
「…、…」
掛ける言葉さえも失ってしまった。
湊は歪んだ顔を隠すように
自分の腕で目元を覆う。
俺は、湊を深く傷付けた。
自分の可能性を試したかったあまりに。
傷付けるつもりはこれっぽっちもなかったのに、
深く傷をえぐってしまった。
「……っ」
すまん、と声も上げれない。
謝っても湊を傷つけるだけの言葉。
救ってやれる言葉じゃない。
湊が欲しい言葉じゃない。
(俺は何をやってるんだ…っ…)
湊に触れたいのに触れない。
もう一度キスしたいのにキスできない。
湊と繋がりたいと思ったのは本当のことだ。
SEXしたらなにか分かるんじゃないかって、
だからホテルに呼んだのだ。
けれど俺はとんだ意気地なしで、
幻想ばっかりみてた視界が歪む。
俺はたぶん、
いや、湊が好きだ。
可愛くて可愛くて仕方がなくて、
好きだから抱けなくて
困惑している。