第11章 男の身体 *
警察署を出て、
肩を借りて歩く赤司に声を掛けた。
「赤司。なんでバイクなんだよ…」
「急いでたんだから仕方ねぇだろ!?
つーかこんな事態になるとは思わなかったし!
あの短文のメールだってそうだし!
警察呼んだのに来るの遅えし!
さっさと乗り込まねえし!
フロントの人は俺を不審者扱いしやがるし!
その服、いったん家帰って用意したの
俺のなんだから感謝しろよなっ!」
「あぁ、すまない…」
「あ…謝んじゃねえよ!礼に及ぶものはねえ!」
ユウや他人の前では多少いい子ぶっているが、
巻き舌で一気に不満を爆発させた
俺には容赦ない赤司。
「ふ…。今回は助かった。ありがとな」
「おっ…おう。
ってかおまえ、本当に武明か!?」
「うるせえ…」
礼を言えとかいっておきながら
言ったらいったで疑うのも赤司らしい。
こいつの声を聞いたら
刑事を利用しようと思っていた
馬鹿馬鹿しい考えや気分も
少しだけ賑やかに晴れたような気がした。