第10章 取り調べ
「親友の、同級生の弟で…、
何かあってもパニックにはならないかと…」
「赤司さん本人から
メールの内容や牛垣さんの関係性については
こちらから確認させていただきました。
同級生である親友の祐次郎さんと
弟の赤司さんとは今も尚仲良くされていると。
次に、長瀬と関係を持っていた…、
牛垣さんの部下について
お聞かせ願いませんか?」
長瀬の家に行くことになった
最大の理由の一つ。
これさえ誤らなければ何も起こらなかった。
しかしその結果もあって、
一斉メールを流した
犯人がどいつなのか判明した。
「部下のことを話したら…、
奴の罪は重くなりますか?」
「んー…それは難しいでしょうね。
すでに牛垣さん本人に
合意のない不正行為を働いています。
暴行・脅迫を用いて姦淫し、負傷させた罪。
盗撮やストーカーも含めてですね。
それと併せて、公然にわいせつ物頒布等しても
懲役を伸ばすことはできません。
長瀬本人の人格に問題があれば
また変わってきますでしょうし…。
ただ、こちらとしては長瀬の素性を暴く
有益な情報があれば刑罰に付加することも
まったく出来ないわけではありません。
長瀬の情報が検察側にあるだけ、
あちらの弁護に対抗できるわけですから」
…湊はどうなのだろう。
まだ、
ほんの僅かでも長瀬に気があるのだろうか。
俺の治まらない怒りだけで
口にしていいものかと悩んでしまう。