第10章 取り調べ
──…
朦朧とする意識の中、
インターフォンの鳴る音を拾った。
一度じゃない、二度も三度も。
「チッ、うるさいなぁ。
こんな夜更けに誰だよ。
せっかく盛り上がってきたのに。
マンション会社に言いつけてやる」
来たときにざっと見た印象だが
このタワーマンションに
部外者が立ち入るのは容易じゃない。
ブツブツと文句を言って長瀬は部屋を出て行く。
そして、
数分もしないうちに…
「オイごらてめえ等!!
人の部屋に勝手に入ってんじゃねえッ!!」
「暴れるな!
公務執行妨害罪だぞ!」
「この部屋か…。確認しますっ!」
「俺の聖地に足を踏み入れんじゃねェエッッ!!!」
長瀬の狂ったような怒鳴り声。
複数の声も混じっており、
警察官の装備をした男が近付いてきた。
「いました!
写真の男で間違いありません。
被害者確保!大丈夫ですか!?
意識はありますか!?」
「…ァ゛…ゥ゛…」
地獄の時間がようやく終わり、
警察に身柄を保護された。