第4章 揺らして
「フーゴ、ごめんなさい」
休みの時間を私の勝手な用事に使ってしまったから、せっかく大きなショッピングモールに来たのに私ばっかり興奮しちゃってたから?
とにかく謝ろう、まだ嫌いにならないで、フーゴ。
私が謝ると、ハッとこっちを見たフーゴ。
「振り回しちゃってごめんね、今日はもう解散しよっか」
本当はこの後、フーゴにブチャラティのいる海の近くの家まで車で送ってもらうはずだったけれど・・・送迎はミスタにお願いしよう。1人になるとみんなに怒られるから。ちょうど暇そうにしてたし・・・
「いや
送ります」
「いいよ、無理しないで。ミスタに頼むから・・・」
それに嫌われているとわかったのに一緒にいるのはフーゴに悪いし・・・。
「気にしないでください。これも僕の仕事なので」
仕事、仕事、仕事、、
そうだった。
フーゴの仕事は私の護衛で、私と居る時間は勤務時間なんだ。
ああ、馬鹿、また。フーゴは私といたくているわけじゃないのに。勘違いしてた・・・。
ふと、哀しくなる。と同時に、申し訳なくなる。
嫌いな女の護衛という仕事なんて。酷でしかないのか。
冷たい風の吹く方に顔を向け、頭を冷やすように顔で風を感じた。
当たりはもう暗くなっていて、日が短くなってきたのを体感した。
車内は無言で、スピーカーから小さな音で流れるギターの音楽がいつもより響くような気がする。
夜空が広くなり、窓を見ると海が見えた。
フーゴは近くにあった建物の向かいに車を停めた。