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落ちる。 【GIOGIO】【フーゴ】

第4章 揺らして


「フーゴ」

帰っちゃうの?
なんて図々しいこと言えない・・・・・!

「?」

「ど、どうだった?結構良いストーリーだったね」

ぎこちなく映画の話を振る。

「そうですね・・・すごく素敵でした。少し切なかったけれど・・・」

暗い部屋に流れるエンドロールだけが私たちを照らす。
どうしよう。このまま帰っちゃうんだよね。呼び止めたいけど、不自然すぎるよね・・・。
もう夜ご飯の時間だし・・・。

「ナマエ、良かったらディナーにでも行きませんか?」

「・・・!」

まさか、フーゴの方から誘ってくれるなんて・・・・!

「い、行きたい!!」

思わず食い気味になってしまったけれど、そんな私を見てフーゴは微笑んだ。

「いつものリストランテ、ディナーメニューも美味しいんですよ」

幸福度マックス。
今日は散々な一日になると思っていたけど、今。すごく幸せな時間を過ごせてる・・・!

そんなことを思いながら、すっかり暗くなった街を歩いた。

仕事の話やさっき見た映画の話、ナランチャやジョルノのチームのみんなの話を、途切れること無く話す。
周りから見れば恋人同士に見えたりするのかな?なんて考えて少しニヤついてしまう。

「ナマエは組織にこうやって入る前、どんなことをして過ごしていたんですか?」

「昼は近所の花屋さんで、夜はバーで働いてた。結構大変だったけど楽しかったよ」

お金は全部兄さんに渡したり生活費に使っていたけど、普通の生活は送れていた。
バイト仲間も沢山出来て、毎日充実していたけれど
こんな素敵な人を前にするなんて当時は思ってなかったなぁ。

「今とその時だと、どっちが楽しいですか?」

「・・・え?」

ふと、真面目な顔でそう聞かれて、思わず聞き返してしまう。

「あぁ、すみません、なんでもないですよ」

「今。」

下を向いたフーゴが私の言葉で再び顔を上げる。

「今が1番楽しい。フーゴやみんなに会えて。組織を辞めなくてよかったって、毎日思ってる」

「・・・よかった。安心したよ」

ありのままの私を受け入れてくれる。
組織を毛嫌いしてた理由が今じゃ分からないくらい。
ただ私はフーゴと居られて幸せだ。
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