第3章 気付き
フーゴに見送られ、部屋に戻った。
「じゃあ、今日は本当に、しっかり休んでください。・・・軽傷で良かったですが、1度は倒れたんです。明日に備えてゆっくりしてください」
ドアの前でそう言って、ごく自然な流れでサヨナラしようとするフーゴ。
私はいつもなら「ありがとう、じゃあね」とドアを閉めるけれど、何故か今は寂しくて仕方がなかった。
ブチャラティが助けに来てくれなかったら私は死んでいた。
ブチャラティには本当に感謝してもしきれないし、私もその分助けられるようになりたいと思っている。
けれど、心のどこか遠くの方で。
フーゴは私の知らないところで何をしていたんだろう、だとか、私がいない間どう過ごしていたんだろうなんて、考えてしまっていた。
黙り込んでしまった私を心配したような顔で覗き込む。
「ナマエ?どうかしましたか?」
「・・・・一緒に、映画でも見ない?」
一緒にいたかった。
このまま離れるのが名残惜しくて、「ちょうど面白い映画を見つけてさ」なんて言ってしまった。
「映画?・・・いいですね」
笑ってそんなことを言うから、私はフーゴに恋をしていると気付いてしまった。