第2章 ようこそ
私の住むアパートはアジトから徒歩5分位の近さにある。
エレベーターで12階。
移動中、フーゴと2人で何を話していいのかわからず、ただ頭の中でお腹すいたなーと考えているだけだった。
私の部屋まで連れて行ってくれたところで、初めて彼が口を開いた。
「ナマエ、いいですか。」
「はい?」
「僕の部屋は1205室なので、何かあったらチャイムを鳴らしてください。連絡先はさっきジョルノが言っていた番号なので、そこにお願いします。自分の身の回りに少しでも変化があったら連絡してください。僕の方から連絡することもあるので、その際はよろしくお願いします。」
いきなり大事な情報をドバっと言われて、脳の処理が追いつかなくなる。
空腹も限界で、返事の代わりに私のお腹が鳴ってしまった。
〜〜♪
「!!!」
「!」
「あっ、ごめんなさい!分かりました、ありがとうございます・・・」
恥ずかしすぎるっ・・・。びっくりした顔をしてたし、絶対聞こえてる。
「今日は疲れましたよね。ゆっくり休んで、また明日も頑張りましょう」
そう言った彼は少し笑ったように見えて、思わず私も口元が緩んでしまう。
「すみません、、ありがとうございます。また明日もよろしくお願いします・・・」
「はい。では。」
ドアを開けてくれたので中に入ると、会釈をしてゆっくりドアがしまった。
ジョルノに“部屋の鍵を必ずかけること。”と念を押されていたのですぐに戸締りをして、部屋の奥に進むと、狭い割には綺麗で設備の整った部屋だった。
シングルベッドには柔らかい羽毛ぶとん。生理用品まで揃っていて、直前まで誰かが住んでいたみたいだ。
とりあえず今日渡された書類をまとめて、肩が凝ってきたところでベッドにダイブした。
これから本格的にここで働くんだ。護衛はついているけど、精一杯働いてお金を稼いで、自立したい。
将来のことを何となく考えていたとき、ふと、先程のフーゴの笑顔が頭に浮かんだ。
思っていたより話しやすい人なのかもしれない。というか、そう思いたい。
ジョルノやブチャラティみたいには打ち解けられなくても、これから長い付き合いになるだろうからせめて友達くらいの仲にはなりたいなあ。