第2章 ようこそ
私は組織が用意してくれたアパートに部屋を借りてそこに住むことになった。
最上階の角部屋で、これは私が狙われにくいようにするためらしい。
ボス_ジョルノ・ジョバァーナと名乗る少年は丁寧に、しかしどこか壁を感じるような、他人行儀な雰囲気で、パッショーネという組織についての説明をしてくれた。
「ナマエ、君を狙う人達から守るためにしばらく君に護衛をつけようと思うんだ。」
「・・・護衛?」
「はい。ボディーガードです。これからしばらくは彼と一緒に任務に行ってください」
「そ、そんなのいいよ!自分の身くらい自分で守れるし・・・」
「いつ足を撃たれてもいいように、ですよ。もうあんな目に会いたくないですよね?」
うっ・・・。
テーブルを挟んで向かいのソファに座る彼は、紅茶を飲み干して席を立った。
「少し待っててください。彼を連れてきますので」
「あ・・・・うん。」
部屋のドアが閉まる音を聞いて、やっと一人で落ち着ける時間が来た。
昨日、正式に組織で働くことを決めて、今日は朝から真面目な話ばかりを聞かされていたから頭がクラクラしていた。
あれからブチャラティにも会えていない。
きっと私がこうなったって言うことは知ってるだろうけど、手当をしてくれたお礼もまだきちんと出来ていなかった。
ダメだなあ、私。今まで色んな人に甘やかされてきたから、肝心なところをちゃんと出来ない。
友達も恋人も家族もいない私に唯一優しくしてくれたのはブチャラティだったのに、冷たい人間だと思われたよな・・・私。
ガチャ。
後ろのドアが開いた音がして、自然と背筋が伸びた。
いつだって人は第一印象が大事だ。