第6章 飛翔
「大変申し訳ございませんが、本日アロイス様はご多忙のため欠席されておりますので、何かございましたら私にお申しつけください。」
へこへこ頭を下げて笑いかける両親の姿を見ていられない。
私の旦那様は、妻になる女を見にも来ないらしい。
そりゃそうか。顔も性格もどうでもいいのだろう。
リアは小さく溜息をつくと再び笑顔を無理矢理に作る。
「分かりました。お体にお気をつけくださいとお伝えください。」
私もこの人も嘘ばっかり。
時計を見て、早く時間が経たないかとそればかり考える。
下を向いて両親の話を聞き流していた時、
「それにしてもリアさんはご両親に似て色白で美しいお顔立ちですね。」
はははと笑顔で微笑み返す。
部屋から出たことが無いのだから白いに決まっているじゃない。
分かりやすいお世辞にへこへこ笑う両親も見ているだけで疲れる。
…私この人嫌いだ。
しばらくすると、両親2人が部屋を後にしてエルヴィンさんともう1人と3人になってしまった。
おしゃべりな両親がいなくなると、話すことがなく静まりかえってしまう。