第1章 お酒【ジョルノ】
『mi piaci… ti amo…』
切なげな表情で愛を語らう恋人。
途中から見始めたと言うのに、その表情に感情移入してつい見入ってしまう。
しばらく2人はお酒を飲みながら静かに映画を見ていた。
「Ti Amo・・・・」
隣に座ったジョルノの口から小さく零れた。
私にそう言ったかと勘違いしてしまう。
私はジョルノが好きだ。
前までは、歳下で 弟みたいな存在だと思っていたけれど、気付けば歳下だとは思えない大人の魅力に魅せられ、恋に落ちていた。
「素敵な映画だね」
薄暗い部屋の中で明るい画面だけが私たちを照らす。
「そうですね・・・」
いつもより口数が少なく、お酒を飲む手が早くなる一方だったので少し顔を覗き込むと
目が合ってすぐにそらされた。
「・・・名前」
俯いたまま名前を呼ばれる。
「?」
「好きです」
「え?」
顔を上げて、光を宿したエメラルド色に吸い込まれそうになる。
「あなたが好きなんだ、名前」
顔を赤らめてそんなことを言うもんだから、クラクラしてどうにかなりそうになる。
心臓がドクッと縮んだような感覚がして、目が離せない。
「・・・ジョルノ、酔ってるでしょ?」
喉をこくりと鳴らして生唾を飲んで、半信半疑で伺った。
ジョルノに右手で頬を撫でられて、血液が体を巡る感覚がわかるくらいバクバクしてくる。
「酔ってなんか・・・いませんよ__」