第1章 お酒【ジョルノ】
深夜。
うっかり忘れ物をしたことを思い出して、暗がりのなかアジトへ向かった。
閉まるドアの隙間から光が見えて、静かにドアを開くと金髪の彼が
窓を眺めながらワイングラスを傾けていた。
「ジョルノ・・・?」
「名前・・・?どうしたんです、こんな時間に」
少し驚いたような顔をして、エメラルド色の瞳をこちらに向けた。
「忘れ物を取りに来たんだけど・・・ジョルノは何してたの?」
「少し考え事を。」
しばらく飲んでいたのか、少し顔が赤くなっていた。
ジョルノが1人でお酒を飲む趣味があったなんて意外で、探ってみたくなる。
「私も一緒に飲んでもいい?」
その言葉を聞いて、ジョルノはしまっていたワイングラスを私に差し出した。
「構いませんよ」
2人がけのソファに腰かけて、小さく乾杯する。
ミスタに勧められた白ワインはクセがなく、アルコールを忘れて喉を通る。
静かに喉に流し込むジョルノの横顔が綺麗で、ぼんやりと眺めていた。
「美味しい。」
「そうですね」
「考え事・・・って、パッショーネのこと?」
「いや、組織のことでは無いんですけど。・・・なんでもないです」
静かになったのを気遣ってかジョルノがテレビをつけると、恋人同士が愛を告げる映画のシーンが流れた。