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刹那

第1章 必然


「あれは…?」
ちょうど橋を渡るところだった。
笠を被り、顔は見えないが見るからに身分の高い武士と付き人のような武士 二人が馬を並べていた。

主の声に 彼が向く方向の道を見ると
川から上半身だけを投げ出し 倒れている者がいる。 子供のようだ。
「ここでお待ちください」
付き人は馬を降りると 子供の元に駆け寄り抱き上げた。手足が冷たいが、息はあるようでほっとする。

「子供は無事か?」
「はい、女子のようです。」

主の元に戻ると 幼い子供の顔を見せる。
泥で汚れているが、整った顔立ちをしている。それにしても見たことも無い着物だ。

「異国の娘?…には見えぬが…。見たことも無い着物だな」
「はい、こんな着物初めて見ました。しかし、流されてきたのか…。親に捨てられたのか。」

歳は四つほどだろうか。 親の姿は見えない。
「とりあえず、連れて帰ろう。このままでは死んでしまうからな。子供を探す親がいないか、探してみよう」
「えぇ、それがよろしいかと」

幼い子供を付き人に預け、馬を走らせ 居城へ向かう。 この武士、名を 織田信秀といい 付き人は 平手政秀と言った。
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