第2章 たった二人の兄妹
縁側に腰を下ろし、政宗の持ってきた茶菓子に手を伸ばす。
「おいしいっ」
「当たり前だ、俺が作ったんだからな」
「ふふっ、政宗は器用ね」
その隣で静かに茶を飲む家康を見て 懐かしさに顔を綻ばせる。
「ありがとう。今日は 気分が落ち込んでいたから…二人とこうやってお茶ができて 気晴らしになったわ」
葵は気づいていた。 偶然を装って部屋の前であったけれど 二人が自分の今朝の様子から何かを感じ取って来てくれたことを。政宗は、茶菓子を持っていたし 家康は昔からの付き合いだ、目が気遣わしげで…すぐに分かった。
彼等の優しさが嬉しい。
「ありがとう」
もう一度いうと、政宗は爽やかに「おう」と微笑んでくれたし
家康はふいっとそっぽをむいて「べつに」
と言ったが、耳が赤くなっていたのを葵は見逃していなかった。