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《イケメン戦国》時を越えて

第11章 時を越えて〜春日山城〜


舞の様子がおかしいことを、義元はすぐに佐助に伝えた。
「昨夜の宴までは元気だったよね?」
そう言った義元の言葉に佐助はあることに気付く。
「多分、トランクです。その中に入っていた何かが原因だと思います。」

(中に入ってたものがダメになってたのか?)
佐助は、自分の保管の仕方が悪かったせいかもしれないと、申し訳なく思った。
(とりあえず、話を聞いてみよう。)
そう思い、舞の元を訪れてみることにした。

「舞さん?」
部屋の前で声を掛けるが返答がない。
「舞さん、居る?」
もう一度声を掛けてみるも、やはり返事は返って来ない。
嫌な予感がした佐助は
「舞さん、開けるよ。」
そう言って襖をそっと開けた。

「ーーっ!舞さん!!」
そう叫ぶと慌てて部屋に入って行く。
佐助のすぐ後ろで様子を見ていた義元もそれに続く。

部屋に入った義元が見たものは、倒れた舞とそれを抱き起こそうとする佐助の姿だった。

「すごい熱だ。」
そう佐助が言うのを聞いた義元はすぐさま、女中の元へ走る。
「舞が熱を出した。すぐに薬師を呼んで!手拭いと水桶と水差しを用意して、一人は寝着に着替えさせて。」
いつも穏やかな義元の焦った様子に、女中たちは慌てて動き出す。

「薬師を呼んで参ります!」
「私は氷の調達を!!」
家臣たちもバタバタと走り出し、城内は騒然となった。

ーーーそして半刻後。
診察を終えた薬師は
「診た限り、流行り病ではありません。長旅の疲れで熱を出されたのかと。薬を煎じておきますので、二刻ごとに飲ませて差し上げてください。かなり熱が高いので、白湯をできるだけたくさん飲まれた方が良いでしょう。また、明日様子を見に参りますが、何かあればすぐにお知らせください。」
そう言って帰って行った。

流行り病ではなかったことにホッとするも、熱が高いことには変わりない。佐助も義元も家臣たちも皆、心配でしょうがなかった。

「この様子だと、戦が終わった時に織田軍と合流するのは難しいだろうから、信長宛に文を出しておくよ。」
義元はそう言って、信長宛に文を書き、早馬に託した。

佐助や義元、城の人々の献身的な看護にも関わらず、舞の熱は幾日も上がったり下がったりを繰り返し、意識はなかった。薬師により、何種類もの薬草が処方されたがどれもあまり効果がない。
佐助が気功を施術してみるも、効果はほとんど見られなかった。
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