第10章 時を越えて〜収束へ〜
山雅は母屋にいた門徒たちに事の次第を説明し
「皆の信じられない気持ちもやり切れない気持ちも分かる。だが、無意味に仲間の命を散らすことはできない。どうか、我が同胞たちへの説得に力を貸して欲しい。」
と言って頭を下げた。
「「ううっ、そんな」」
「……」
「まさか…顕如様が…」
泣き出す者、沈黙する者、驚きの声を上げる者…反応は様々だったが、それでも皆、門徒たちの説得にあたることを受け入れてくれた。
そんな彼らを見ていた景鏡が
「此度、朝倉景義が其方らへした仕打ち…誠に申し訳なかった。同じ朝倉の性を名乗るものとして心からお詫びする。此度の件を景義は命をもって償った。納得が行かぬかもしれないが、それで堪忍して欲しい。」
そう言って頭を下げた。
そして
「此度の件で被害を受けた民たちへ、この朝倉景鏡が責任を持って償いをする。民たちが元の生活を取り戻すために力を尽くすことをここに誓う。」
そう、力強く宣言した。
それを聞いて
「それは願ってもないこと。誠にありがたき。」
山雅が答えれば、
「まずは被害状況の把握をしたい。山雅殿をはじめ、こちらにおられる方々にも協力をお願いしたいがよろしいか?」
「もちろんでございます。」
皆、平伏した。
その後、山雅を中心とした門徒たちが、外にいた民たちに事情を説明した。最初は興奮し、憤っていた民たちも、山雅たちの我慢強い説得と景鏡の誠意ある対応に最終的には皆、納得し今回の一揆騒動は幕を閉じた。