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《イケメン戦国》時を越えて

第9章 時を越えて〜顕如討伐〜


丁寧に頭を下げる佐助に、饗談の者も甲賀者も同じように頭を下げる。

「佐助くん、この方たちは?」
そう舞が訪ねたのは軒猿の二人。
「ああ、軒猿の竜と弥助。実は、岐阜城からずっと二人にも付いて来てもらってたんだ。」
「ええっ、そうなの?気付かなかった!竜さん、弥助さん、ずっと守ってくださっててありがとうございます。」
そう言って頭を下げる舞に、慌てて二人も頭を下げた。

そして、饗談の者と甲賀者に向かって
「助けていただいてありがとうございました。」
と深々と頭を下げると
「いえ、某らは主の命に従っただけのこと。お礼など不要でございます。」
「同じく。」
そう返した。

それから、舞を除く7人は捕らえた敵兵をどうするか話し合い出した。
その様子を見ながら、村正と戯れていた舞はふとあるものに気付く。
一番近くにいた義元に
「義元さん、あれはなんですか?」
と尋ねると
「あれは茶屋だよ。茶と甘味が食べられるんだ。」
「ふーん。」
義元の話を聞いて、思惑顔の舞。
「お茶や甘味はお店の中で食べないとダメなんですか?」
と再び聞く。
「いや、だいたいどの茶屋も持ち出すことができるはずだよ。」
「そっかー。じゃあ、決めた!」
そう言って、茶屋に向かって歩き出す。
「舞?どうしたの?」
慌てて追いかける義元に
「お茶と甘味を買いに行くんです。助けていただいたお礼にご馳走しようと思って。」
「みんなのお茶と甘味を買いに行くの?」
「はい!義元さん、良かったら付いて来てもらえませんか?茶屋は初めてで実は一人では不安なので…。」
「ふっ、舞らしいね。もちろん良いよ。」
「ありがとうございます!」


そうして、人数分のお茶と団子を買った舞と義元が皆のところへ戻って来た。
「みなさん、お疲れさまでした!お茶とお団子で休憩しませんか?」
そう言って湯呑みと団子が乗った皿を皆に差し出す。

「「「「「ーーーっ?!」」」」」

その行動に驚いたのは、佐助以外の忍びの五人。
忍びの自分たちと姫である舞が一緒にお茶を飲むなどあり得ない。
戸惑い無言になる忍びたちに
「みなさん、お団子嫌いでしたか?」
と悲しそうに言う舞。
それを見た義元が
「舞が『助けてくれたお礼に』と言って自分のお小遣いで買ってくれたんだから、ありがたくいただこうよ。」
そう微笑んだ。
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