第9章 時を越えて〜顕如討伐〜
「帰るにはまだ早いぞ?」
ニヤリと笑い、先陣を切って駆けて行く政宗。
「ああ、もう!また政宗さんは!尻拭いする身にもなってくださいよ!!」
文句を言いながら、家康が慌てて続く。
上杉軍と織田軍に挟まれ、身動きの取れなくなった顕如軍は瞬く間に壊滅状態となった。
「虫一匹も通すな。」
信長の指示で逃げ惑う兵たちも次々に捕らえられて行く。
顕如は後ろ手に縛られ刀を突きつけられて、もはやなす術はない。
「ふん。もう少し楽しませてくれるかと思ったが他愛ない。」
あっという間に決着がついた事に憮然とする謙信。
「くっ、この戦狂いが。これだけ切って『足りぬ』と言うのは、お前くらいのものだ。」
そんな謙信を信長が笑う。
「しかも、無傷とは。くっ、さすがは『軍神』と謳われるだけある。」
光秀もおかしそうに同調した。
「…信長、斬る!」
矛先が信長に向きそうになったところで
「もう、終わったのか?あっけねーな。」
と言って入って来たのは幸村。
「幸村、ここで何をしている?門徒はどうなったのだ?」
訝しげに謙信が問うと、
「あー、門徒の数が思ったより多くて信玄様でも説得は無理そうだから、別の方法を取ることにした。だから、俺がこっちに来ました。」
と幸村が答える。
「別の方法?」
「はい。朝倉のーーー」
「なるほどな。」
幸村の説明を聞いて、信長が肯き
「景鏡、すぐに動け。」
そう指示を出した。
「信興、光秀。捕らえた兵を岐阜城へ連れて行け。」
「「御意」」
こうして、顕如たちは岐阜城へと連行された。