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《イケメン戦国》時を越えて

第7章 時を越えて〜顔合わせ〜


謙信を鍛錬場へと連れて行くと、
「着替えて来ます。」
と言って、なぜかく忍び姿で戻って来た舞。
「くくっ、小娘は本気で忍びがお気に召したらしい。」
と笑う光秀に皆も苦笑いだ。
一方、春日山組は目が点。
「なにやってんだ?アイツ。」
「舞さん、本気で忍びに…」
「んなわけ、ねーだろ!」

そんなギャラリーを他所に、二人の斬り合いが幕を開けた。
武器はもちろん木刀。
舞は剣道の構えだ。

スッー、カンッ
先手を打ったのは謙信。流れるような太刀捌きで、舞の横腹を祓おうとする。それをすかさず打ち返し、反撃する舞。
二人の打ち合いは凄まじいものだった。
謙信の攻撃をバク転や側宙で交わす舞の姿は本物の忍びさながら。
政宗との一戦とはまた違う戦法に織田軍の武将たちも驚き、目を見開いた。

四半刻を過ぎた頃、試合が動く。
運動量の多い舞がスタミナ切れを起こし立てなくなり、その舞の首元に木刀を突きつけた謙信が勝者となった。
政宗との時に比べ、悔しそうな表情を浮かべた舞。
「手応えのある打ち合いだった。」
そう告げて背を向けた謙信に
「ーー悔しい!」
一言返し、舞は泣き出した。

「ううっ、絶対勝ちたかったのに!…グスッ…仲間をいきなり斬ろうとするとか絶対…間違ってるから…頭おかしい!……グスッ…絶対に勝って『そんなこと止める』って約束して欲しかったのにーー!!ううっ、こんな危ない人の下にいるなんて佐助くんがかわいそう。グスッ…そうだ!佐助くんは謙信様のところなんて辞めて、織田軍に来れば良くない?信長様は横暴だけど、いきなり斬って来たりはしないし、推し武将の家康もいるから喜ぶよね。ズッ友の幸村と離れるのが寂しかったら、幸村も織田軍に来れば良いし。秀吉さんの部下になれば史実通りで全て丸く収まってみんなhappy♪だね。」

「「「「「ぶっ!」」」」」

泣いていたと思ったら独り言をブツブツ言って謙信のみならず信長までディスり、佐助と幸村を織田軍にという有り得ない結論にひとり納得する舞に、皆は吹き出した。

「……頭おかしいとは俺のことか?佐助は俺の部下だ。信長にはやらん。」
と言いながら、不機嫌そうに振り返った謙信。

そう言われて口に出ていたことに気付いた舞は
「げっ!!いっ、いや…そういう意味じゃ……」
と顔面蒼白で慌て出した。
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