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《イケメン戦国》時を越えて

第7章 時を越えて〜顔合わせ〜


「…舞、お前見かけによらず阿保なんだな。」
そんな舞に幸村が呆れたように言う。

「あっ、阿保って……ひどい!」
「はっ?阿保に阿保って言って何が悪い!」
「そっ、そんな言い方!なによ!阿保って言う人が阿保なんだからね!」
「ああ?!俺は阿保じゃねえ。お前と一緒にすんな。」
どんどんヒートアップする二人の言い合いを
「舞さんも幸村も、どうどう。」
と佐助が無表情で宥めた。そのまま話始める。

「舞さん、俺のために試合してくれてありがとう。嬉しかったよ。でも、俺と謙信様の関係は君が思ってるように悪いものじゃない。確かに謙信様は『斬る』が口癖だけど、本気で斬って来る訳じゃないし、口下手で不器用な謙信様なりのコミュニケーションの取り方であり、愛情表情なんだと俺は思ってる。まあ、限度を知らない人だから毎回かなり疲れるけど、でもそうやって鍛えられて俺は今日までこの時代で生きて来れたんだ。だから、謙信様には感謝してるし、俺の主君は謙信様以外は有り得ない。『斬る』が口癖で戦好きな困った人だけど、俺の大事な人である謙信様の良さを君にも分かってもらえると嬉しい。」

穏やかに話す佐助に舞も落ち着きを取り戻す。
「うん。分かった。佐助くんの気持ちも考えずに暴走しちゃってごめんね。謙信様も…勘違いして失礼なことを言ってごめんなさい。」
素直に謝った。
「……良い。終わったことだ。もう忘れろ。」
謙信は短く返すと口角を上げた。

「それにしても、舞さんが本当に謙信様に挑んで行くとは思わなかったから驚いたよ。そして、お世辞抜きにかなりの腕前だ。」
佐助が感心したように言う。
「あー、それは…」
言い淀んだ舞の代わりに
「佐助、舞は500年後で『剣道』なるものをやってて、その強さで男たちをなぎ倒してたらしいぞ。確か道場破りが趣味だって言ってたな。」
政宗がニヤリと笑う。
「ちょっと、政宗!道場破りが趣味なんて言ってない!」
「でも、あんた『あと一人で制覇だった』って残念がってたでしょ?」
家康も口を挟む。
「…残念がってない!」
そう弁解する舞を見て
「そうか!」
佐助が何か閃いたように手をポンと叩いた。

「舞さんが噂の『平成の巴御前』だったのか。」
「巴御前?」
怪訝な顔をする舞に
「平安に存在した有名な女性武士ですよ。源氏に仕えていたとか。」
三成が答える。
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