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《イケメン戦国》時を越えて

第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり


初めて対面する父に緊張の面持ちの秀吉。
「お初にお目に掛かります。三男の藤吉郎…今は豊臣秀吉と申します。」
父の御前で叩頭して挨拶をする。
「妻の舞です。」
「舞です。よろしくお願いいたします。」
秀吉の紹介を受け、舞も叩頭して挨拶をする。
「二人とも顔を上げなさい。」
父に言われ、顔を上げれば
「藤吉郎…いや、秀吉。良く来てくれた。舞姫も。私は北条氏由。わざわざ来てもらってすまないな。」
「いえ。とんでもありません。こちらこそ、お招きいただきありがとうございます。」
「皆様にお会いできて嬉しいです。」
三人はにこやかに言葉を交わす。

秀吉の父、北条氏由は北条氏康の弟の子だった。氏由の父は北条家傘下の小国の大名の娘を娶り、氏由を含め三人の嫡男を設けた。氏由はその三男で、家督を継ぐ身でもなく自由気ままに生きていた。
元服を迎えて直ぐの頃、その日たまたま北条本家の集いに顔を出した氏由は、そこで出会った秀吉の母『光』に一目惚れする。隣に座る従兄弟の氏政に
「どこの姫か?」
と問えば
「あの者は風魔党のくノ一の『光』だ。今日は訳あって姫の振りをしている。」
と教えられた。
「くノ一?!」
予想もしてなかった答えに驚き、再び光を見れば氏由に向かってニッコリと微笑む。それからはもう、氏由は光に夢中だった。
光は光で己の立場を分かっていても、氏由への気持ちには抗えず、二人はあっという間に恋仲となった。氏由は光を嫁に娶るつもりだったが『身分の違い』を理由に周りから猛反対を受ける。

「なんとか周りを納得させてお前を迎え入れる。それまで待っていてくれないか?」
氏由の言葉に
「分かりました。私はいつまでも貴方様をお待ちいたします。」
そう光は答え、その言葉通りに何年も氏由を待ち続けた。

氏由が光を迎え入れる力を付けるために気ままな生活を一変させ、多忙な日々を送るようになったことで、光と過ごす時間は格段に減った。それでも、会えばお互いを求め合い、愛し合う。子ができたのも不思議ではなかった。光は『氏由に余計な負担を掛けたくない』と子ができたことも、子が産まれたことも一切知らせなかった。二人の逢瀬はいつも、人目につかない町外れの寂れた宿屋。しかも、半年に一度会えるか会えないかの二人。運が良いのか悪いのか、氏由は光が亡くなるまで子のことに気付くことはなかった。

※氏由は架空の人物です。
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