第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり
ーーー二月後。北条傘下のとある場所。
舞と秀吉は兄の居住地を訪ねていた。祝言の後に秀吉から兄を紹介され事情を聞いた舞は、兄弟の再会を我が事のように喜んだ。『落ち着いたら兄を訪ねて行く』と約束した二人は、それを果たすためにここを訪れたのだった。
「二人ともよく来たね。」
そう言って出迎えてくれた藤之助に
「兄貴、先日はありがとう。」
「お兄様、お出迎えありがとうございます。」
と秀吉と舞がそれぞれ挨拶をする。
「さあ、中へ。」
そう促されて進んだ先にはーー
「わあ。」
「すごいな。」
たくさんの人々。
「「「「ようこそお越しくださいました。」」」」
そう言って二人を出迎えてくれる。
「世話になる。」
「お邪魔します。」
そう言って、また二人それぞれに挨拶を返すと
「「藤吉郎!」」
「藤吉兄さん!」
出迎えの列の前方にいる秀吉の兄弟たちが二人の側へとやって来た。
「兄ちゃん、姉さん……お前は藤乃か?」
秀吉の兄弟は長男の藤之助を筆頭に、次男の藤二郎、長女の藤子(とうこ)、三男が秀吉で、四男、五男と次女、三女の藤乃という八人兄弟だ。秀吉を出迎えたのは、藤二郎と藤子、藤乃だった。
「久しぶりだね。大きくなって…」
涙目でそう言う藤子に
「本当だな。俺よりデカくなりやがって!」
藤二郎が同意すると
「藤吉兄さん。藤乃です。」
藤乃も挨拶する。
「ああ。みんな久しぶりだ。」
嬉しそうに答えた秀吉は
「舞、藤二郎兄ちゃんと藤子姉さん、妹の藤乃だ。こっちは俺の妻の舞。」
と皆を紹介する。
「お兄様、お姉様、藤乃さん、舞と申します。よろしくお願いします。」
「藤二郎です。よろしく。」
「姉の藤子よ。よろしくね。」
「藤乃です。よろしくお願いします。」
お互いに挨拶をし終えたところで
「こんなところで立ち話してないで中へ入ろう。」
と藤之助に促され、皆で中へと進む。
「立派な城だな。」
秀吉が言うと
「ああ。親父が頑張ったんだ。」
と藤二郎が答える。
そう、秀吉たちが訪れた場所は北条領の支城だった。秀吉の兄弟たちは、病で亡くなった四男と公家に奉公に出ている五男、遠方へと嫁ぎ身重の次女以外が秀吉との再会のためにこの城へと集結していた。
そして、通された広間には
「お前が藤吉郎か…。光に良く似ているな。」
そう言って嬉しそうに出迎える人物。
「…父上…」
秀吉の父がいた。