第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり
「うん。俺が知りうる知識を伝授したんだ。」
「そうだったんだ…。」
「話したのはかなり前だから、早くから準備してたんじゃないかな。」
「……ううっ」
急に泣き出した舞に
「舞さん?!」
「舞、どうした?!」
慌てる佐助と幸村。そこに
「光秀様はお二人が離れた後も、いつか必ずお二人は結ばれると信じていらっしゃいました。『いつか来るその日のために』と花嫁衣装や嫁入り道具をずいぶん早くから準備しておられたんですよ。今日の祝言のことも、光秀様が信長様にご提案されたのです。」
光秀に酌をしていた九兵衛が口を挟んだ。
「九兵衛…余計なことを」
珍しく照れたようにそっぽを向く光秀に
「光秀さん!」
舞が抱きついた。
「…ありがと…うござい…ます」
泣きながら言う舞に
「娘のためなら当然だろう。」
背中をポンポンしながら光秀が言う。
「それに、お前と歩く『ばーじんろーど』やらは悪くなかった。」
光秀がニヤリと笑うと
「…おと…さんと…歩けてうれし…かった」
嗚咽で詰まりながら舞も笑って言う。
「ああ」
光秀も今度は優しい顔で笑った。
「おいおい!抱きつく相手が違うんじゃねえのか?」
側にやって来た政宗が茶化すと
「今日くらいは大人しく座ってるかと思ったけど、やっぱり舞は舞だね。」
一緒にやって来た家康が呆れたように笑いながら言う。
「だって…嬉しくて…」
まだ涙目の舞がそう答えると
「舞、良かったな。」
手拭いで舞の涙を拭ってやりながら、そう秀吉が言う。そして、光秀の側に移動すると
「色々ありがとう。」
そう言って頭を下げた。秀吉のその行動に一瞬、驚いた様子の光秀だったが
「秀吉。これからは『父』と呼んでくれて構わんぞ?」
いつもの調子で答える。
固まる秀吉。
政宗「くっ。そうだぞ。光秀はお前の義父だからな。『父上』と呼ばないとな?」
秀吉「…」
家康「ぶっーー!!」
佐助「光秀さんを『父上』と呼ぶ秀吉公…すごい光景だ。ぜひ見てみたい。」
政宗「『父上!お前はまたーー』って説教すんのか?…面白れえじゃねえか。」
家康「アハハハッーー」
幸村「ぶっ。なんの茶番だよ。」
光秀「遠慮することはないぞ?(ニヤリ)」
九兵衛「親子となったのですからね。(ニヤリ)」
秀吉「…おっ、お前ら!俺で遊ぶなーっ!!」
「「「「ブハハハハッーー」」」」
秀吉が『父上』と呼んだか否かは…