第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり
着替えを終えた秀吉は再び広間へ向かう。中に入ればそこには、ズラリと居並ぶ武将たちと家臣たちに加え、藤之助の姿もある。上座に座るのは当然、信長だ。
「秀吉様はこちらへ。」
そう三成に促され、信長の御前に座する秀吉の顔には緊張の色が見て取れる。一方、他の者たちの表情は秀吉とは対照的に朗らかだ。楽しそうな雑談も聞こえる。そんな空気が
「舞姫様の準備が整いましてございます。」
女中の一言で静まる。
「「「「ーーーっ」」」」
大きく襖が開かれ、光秀に付き添われて入室して来た舞の姿に皆、息を呑む。
入り口から信長の御前まで敷かれた赤い敷物の上を、光秀に手を引かれそろりそろりと歩く白無垢に身を包んだ舞はこの世のものとは思えぬほど美しい。その姿に皆、ただただ見惚れていた。
「ほぅ…」
秀吉も例外ではなく、感嘆の息を漏らす。
そして、信長の御前までやって来た舞は秀吉の隣に座り、二人そろって信長へ叩頭する。
「頭を上げよ。」
信長の一言で頭を上げた秀吉と舞。
「舞を頼むぞ。」
そう言って秀吉に光秀から渡された盃に信長が酒を注ぐ。それを三三九度の要領で口に含むと
「幸せになれ。」
秀吉から受け取った盃を今度は舞に渡しながら光秀が言う。それに再び信長から酒が注がれると、舞も同じように三三九度の要領で口を付けた。
「これで貴様らは晴れて夫婦となった。夫婦となろうとも、俺の右腕、縁起者として変わらず役に立て。」
信長の言葉に
「本日はこのような場を設けてくださり、誠に有り難き幸せにございます。これから先も信長様への変わらぬ忠義と、生涯舞を守り幸せにすることを己の命を賭してお約束いたします。」
秀吉がそう言って頭を下げると、舞も同じように叩頭した。
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祝言の儀が終わると祝いの宴が始まる。
「「「「おめでとうございます。」」」」
信長と光秀に挟まれて、上座に座る二人に次々と色々な者が酌にやって来る。
「秀吉さん、舞さん、おめでとうございます。」
「二人ともおめでとう。」
そう言いながらやって来たのは、佐助と幸村。
「わざわざ来てくれてありがとな。」
「二人ともありがとう。」
秀吉と舞が答えると
「バージンロードを歩いた気分はどうだった?」
と佐助が聞いて来る。
「えっ?もしかして…。」
「うん。光秀さんに500年後の結婚式について聞かれてね。」
「じゃあ…」