第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり
「私は秀吉さんのことも三成くんのことも尊敬してる。人の幸せのために命を掛けて戦ってるんだもん。そんな尊い自分を卑下したりしないで欲しい。立派なことをしてるんだって胸を張って良いのに、二人とも自己評価が低すぎるよ…。」
「舞…」
「舞様…」
秀吉と三成の心に舞の言葉が刺さる。
「二人ともこんなにカッコ良くて強くて優しくて頭も良くて…良いところだらけなのに『自分なんか』って思ってたら勿体ないよ?」
「舞…ありがとな。でも、お前も人のこと言えないぞ?」
「え?」
「そうですね。舞様こそもっとご自分を誇って良いと私も思います。」
「…そうかな?」
舞が半信半疑で尋ねると、秀吉も三成もにっこり笑って肯く。それに釣られたように
「じゃあ、三人とももっと自分を誇らなきゃだね。ふふっ。」
と舞も笑った。
すっかり自分を取り戻した三成は
「俺が回復するまで御館様と織田軍のこと頼むな?」
そう秀吉に言われると
「はい。私にできる全てを掛けて秀吉様の分まで務めます。」
と力強い眼差しで答え、天幕を後にする。
「三成くんに任せてたら安心だね。」
天幕を出て行く背中を見送りながら舞が言うと
「ああ。三成だけじゃない。他の奴らも…。頼りになる仲間に恵まれてありがたいな。」
と秀吉が微笑んだ。
「秀吉さん、そろそろ休んだ方が良いよ?」
二人になった天幕で舞が言うと
「ああ。そうだな。でも今はもう少しお前と話したい。」
と秀吉が言うので
「分かった。じゃあ、もう少しだけね。」
そう舞が答えた。
「なあ、舞。」
「うん?」
「あのな…」
「うん。」
「あー。えーと。」
「ふふっ、どうしたの?」
「この戦が終わったら……」
「なあに?」
「…お前を俺のものにしていいか?」
「えっ?…………はい。」
秀吉の言葉に真っ赤になる舞。問うた秀吉の顔も薄っすら赤く染まっていた。
「あー、でも先ずは光秀と信長様に許可をいただかないとだな。」
「…うん。」
「許可が出ても、毛利討伐が終わるまでは祝言は挙げられないけど、待っててくれるか?」
「もちろんだよ。」
「ありがとな。一日も早くカタが付くように祈っててくれ。」
「はい。いつまでも待ってる。だから…」
「ん?」
「絶対に生きて帰って来るって約束して?」
「…ああ。約束する。もう無茶はしない。」
「良かった。」
舞は安堵の笑顔を浮かべた。