第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり
〜秀吉目線③〜
舞は俺の話を聞いて動じるどころか
「話を聞いたら、もっと秀吉さんのことが好きになったよ。」
そう笑顔で言った。さらに
「秀吉さんを産んでくださったお母様に感謝しなきゃ。秀吉さん、生まれて来てくれてありがとう。」
「ーーーっ」
もう言葉にならなくて、胸がギュッと苦しくなった。勝手に涙が溢れて来る。何も言わず強く抱きしめる俺を舞も抱きしめてくれる。
「…舞、愛してる…お前に出会えて良かった。」
震える声で言った俺に
「私も愛してるよ。出会えて良かった。」
舞もそう返してくれた。
そして
「ずっと一緒にいてくれるか?」
「はい。ずっと一緒にいたい。」
舞の言葉に
「俺の妻になってくれないか?」
そう告げると
「…」
黙り込む舞。
「…俺みたいな男じゃやっぱり駄目か。」
ガッカリする俺に
「違うよ!駄目なのは秀吉さんじゃなくて…」
「??」
「……あのね、私聞いたの…」
「なにを?」
「秀吉さんが綺麗な女の人と話してて、その人が『秀吉さんは私と夫婦になるつもりも子を成すつもりもない』って…」
「ーーっ!あの時…」
「盗み聞きなんかしてごめんなさい。」
「…いや…そうか…」
(だから舞は…)
舞が俺に別れを告げた理由が理解できた。きっと、俺との先のない関係に耐えられなくなったんだろう。
(俺がうじうじ考えてたせいで…)
「舞」
「はい」
「確かに俺は子を持つつもりも妻を娶るつもりもなかった。俺なんかの子が幸せなわけないと思ってたからな。」
「…」
「だけどな、お前に出会って変わったんだ。お前と過ごすうちに『こんな俺でも良いんじゃないか』って思えるようになった。お前とならこんな俺でも子を幸せにできるような気がした。」
「私となら?」
「ああ。『俺が幸せなら子も幸せなんじゃないか?』と今は思う。俺が幸せを感じられる唯一の存在のお前との子なら、幸せにできると思えるんだ。」
「秀吉さん…」
「もちろん、子が欲しいからお前を妻にしたいわけじゃない。俺が幸せになりたいんだ。…そんな甘い考えで婚姻を申し込むなんて駄目か?」
「ーーーっ」
俺の言葉を聞いた舞はギュッと強く俺に抱きついた。そして
「駄目じゃない!駄目なわけないよ。私も幸せになりたい。秀吉さんとしか幸せになれない。」
そう言うと顔を上げて
「…私を貴方の妻にしてください。」
俺を真っ直ぐ見据えて言った。