• テキストサイズ

《イケメン戦国》時を越えて

第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり


〜秀吉目線②〜
あまりの嬉しさに心が震えた。
涙をボロボロ流す舞の頬を指で拭いながら
「…俺でいいのか?」
と聞くと
「秀吉さんがいい!秀吉さんじゃなきゃダメなの…」
そう言ってますます涙する舞。

「抱きしめていいか?」
と問うと、答える代わりに寝ている俺の胸の上に顔を乗せてくる。俺はそのまま体の向きを変え、横向きに舞を抱きしめた。
久しぶりに抱きしめた体は以前より小さく感じる。

「痩せたんじゃないか?ちゃんと食べてたか?」
そう心配する俺に
「秀吉さんだって。こんなにやつれて…。」
俺の頬に手を当てて悲しそうに舞が言う。そんな舞に
「…舞」
「ん?」
「聞いて欲しい話がある。」

俺は全てを打ち明けた。

俺の過去を聞き終えた舞は
「…秀吉さんはお母様に愛されてたんだね。」
そうポツリと言った。あまりに予想外な反応に
「ーーっ、……なに…言って…」
上手く言葉が紡げない。
「『三つ子の魂百まで』って言葉知ってる?」
「…」
「『小さな頃からの性格は大人になっても変わらない』って意味なんだけど、秀吉さんがそんなに優しくて思いやりがあるのは、お母様にたくさん愛情を注がれて育った証拠だと思うの。」
「…」
「本当に身も心も貧しい家で育ってたなら、秀吉さんはもっと卑屈な性格になってたんじゃないかなあ?周りの人に虐められても挫けなかったのは、お母様が好きだったからでしょ?」
「ーーっ!そんなわけっ!」
「秀吉さんはお母様が好きで、お母様も秀吉さんを愛してたんだよ。たくさん子がいて貧しい暮らしなのに、お母様が体を売ってまで頑張ったのは、秀吉さんたちのため。子を捨てて逃げることもできたはずなのに、しなかったのは愛情があったからだよ。」
「貧乏だったのは、母ちゃんがバカみたいに子を産んだから…」
「そうだね。きっとお母様は子どもが大好きだったんだね。」
「……そうかもな…思い出してみれば、母ちゃんはいつも笑ってた気がするな。」
「うん。お母様は幸せだったんだね。」
「…幸せ…か」
「うん!」
「…舞と話してると、自分の過去が悲惨じゃない気がして来るな。」
「悲惨なんかじゃないでしょ?親に愛されて、むしろ幸せだよ。」
「…そうか?」
「盗みは悪いことだけど、それ以外に秀吉さんが自分を卑下しなきゃいけない過去なんてない。こんなに立派になってすごい!って思う。」
「…ありがとな。」
/ 336ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp