第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり
〜秀吉目線〜
あんなにキツかった体が嘘のように楽になり、人の話し声で目が覚めた。見れば、すぐ側にいるのは家康。
「ーーっ」
声を発しようとした俺を制し、人差し指で『しーっ』とされ慌てて黙った。俺が目覚めたことに気付かない奴らが話を続ける。
(この声は、光秀と政宗……舞か?!)
舞がいることに気付いた途端、心の臓が激しく鼓動を打ち出す。もう二度と会えないと思っていた舞がそこにいる。すぐにでも顔を見たかった。
そして耳に入る会話
政宗「引き止めなかったのかよ。根性ねえな。」
(根性なしで悪かったな。)
舞「…私が」
政宗「うん?」
舞「『他に好きな人ができたのか?』って聞かれて私が『うん』って嘘ついたから。だから秀吉さんは…」
(はっ?あれは嘘だったのか?!)
思わず起き上がりそうになる俺を、家康が押さえる。
光秀「やれやれ。そういうことだったか。」
政宗「ったく。お前はとんだ阿保だな。…秀吉に同情する。」
家康「ですね。人騒がせで本当に迷惑。」
(お前たち、言い過ぎだ!)
舞「ううっ…ごめんなさい。」
家康「それで?どうするの?」
舞「…許してもらえるなら側にいたい。」
(また側にいてくれるのか?)
政宗「お前馬鹿だなあ。許すも許さないもねえだろ。秀吉の奴、泣いて喜ぶぞ?」
舞「…怒らないかな?」
家康「はあ。あんた本当に馬鹿だね。」
舞「そんな…バカバカ言わなくても…」
光秀「お前がその小さな脳みそで悩んだところでなんの益もない。さっさと秀吉と祝言を挙げろ。」
舞「ええっ?」
(えっ?良いのか?!)
政宗・家康「「それが一番!」」
舞「いやっ、それは…」
焦ってオロオロする舞。
(もう限界だ。)
そう思った俺の口からは
「…俺の妻になるのは嫌か?」
そう言葉が漏れていた。
「秀吉さん?!」
俺を見て驚き、呆然とする舞。
三人が出て行った後も動かない舞に
「側へ来てくれないか?」
そう声を掛けると、意を決したように肯いてこちらへやって来た。
「舞…」
そう言って手を出せば
「秀吉さん…」
両手で包み込んでくれる。
「会いたかった…ずっとお前に会いたくて死にそうだった。」
そう告げた俺に
「私も…会いたかった。秀吉さん…愛してる。ずっとずっと好き。秀吉さんだけがずっと好き。…疑って…嘘ついてごめんなさい。」
そう言って舞は泣き出した。