第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり
春日山の面々と別れ、秀吉の天幕へと移った四人。
家康が秀吉を診察するのを見ていた光秀が
「舞」
「はい」
「お前はなぜ秀吉と別れた?」
と問うと
「…それは…」
言葉に詰まる舞。
政宗「俺は秀吉が振られたって聞いたぞ?」
舞「…」
家康「俺も。でも、見る限りあんたはまだ秀吉さんを想ってるんじゃないの?」
舞「……」
診察しながら話に加わる家康。
光秀「別れたことを責めているのではない。ただ、腑に落ちぬから尋ねただけだ。答えたくなければ言わずとも良い。」
舞「ーー……秀吉さんを信じられなくて」
光秀「どういうことだ?」
舞「…秀吉さんの気持ちが離れたと思ったから…別れを告げました。」
一同「「「はっ?」」」
光秀「…あいつのどこをどう見たらそんな風に思える?」
家康「呆れた。あんなにあんたにベタ惚れなのに疑うとか意味分かんない。」
舞「…」
政宗「それで?秀吉はどうしたんだ?」
舞「…」
政宗「引き止めなかったのかよ。根性ねえな。」
舞「…私が」
政宗「うん?」
舞「『他に好きな人ができたのか?』って聞かれて私が『うん』って嘘ついたから。だから秀吉さんは…」
光秀「やれやれ。そういうことだったか。」
政宗「ったく。お前はとんだ阿保だな。…秀吉に同情する。」
家康「ですね。人騒がせで本当に迷惑。」
舞「ううっ…ごめんなさい。」
家康「それで?どうするの?」
舞「…許してもらえるなら側にいたい。」
政宗「お前馬鹿だなあ。許すも許さないもねえだろ。秀吉の奴、泣いて喜ぶぞ?」
舞「…怒らないかな?」
家康「はあ。あんた本当に馬鹿だね。」
舞「そんな…バカバカ言わなくても…」
光秀「お前がその小さな脳みそで悩んだところでなんの益もない。さっさと秀吉と祝言を挙げろ。」
舞「ええっ?」
政宗・家康「「それが一番!」」
舞「いやっ、それは…」
焦ってオロオロする舞。
「…俺の妻になるのは嫌か?」
突然、発せられた声に驚いて顔を向けると
「秀吉さん?!」
目を覚ました秀吉が舞を見つめていた。
光秀「目覚めたか。」
政宗「もう大丈夫そうだな。」
家康「ええ。もう体内に毒は残ってなさそうです。」
政宗「そりゃ良かった。」
呆然とする舞をそのままに
「後は二人で話せ。」
そう言って、三人は出て行った。