第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり
佐助の釈明に皆がホッとしたところに
「舞様?」
三成がやって来た。光秀、政宗、家康の姿もある。
「あっ!家康!秀吉さんの意識が戻ったの。」
舞が家康に言う。
「分かった。後で診に行く。今は?」
「眠ってるよ。」
「そう。この調子なら明日にははっきり意識が戻りそうだね。」
家康の言葉に
「本当?良かった!」
舞が嬉しそうに言うと皆の顔も安堵で綻ぶ。
そんな中
「三成?どうした?」
一人思い詰めた表情の三成に政宗が問う。
「…私は…秀吉様を守れなかった己が許せません。」
俯いて拳を握り締めて言う三成。
「主君をこのような目に合わせるとは、私は家臣失格です。この責は取らなければ…」
と声を震わせる。
「「「「三成…」」」」
皆が言葉に詰まる中
「秀吉さんは喜ぶと思う。」
「え?」
舞が突如話し始める。
「秀吉さんは三成くんが無事だったことを喜ぶと思うの。」
「…」
「もし三成くんに何かあったら秀吉さんは悲しむよ。三成くんは秀吉さんが悲しんで平気?」
「それは…」
「大事な人が傷付いて悲しくて悔しいのはみんな同じ。三成くんにとって秀吉さんが大事なように、秀吉さんにとっても三成くんは大事な存在でしょ?」
「……」
「自分のせいで三成くんが己を責めてるって知ったら秀吉さんは悲しむよ。秀吉さんが見たいのは、三成くんのそんな顔じゃなくていつもの笑顔だと思う。」
「…舞様…」
三成が顔を上げる。
「舞の言う通りだ。秀吉の穴を俺たちで埋めなきゃならないんだからな!くよくよしてる暇なんてねえぞ?」
さらに政宗が諭すと
「…政宗様…そうですね。秀吉様のためにも私が今すべきことをしっかり果たします。」
ようやく光の戻った瞳で三成が言う。
「うん!私も私ができることをしっかりやる。お互い頑張ろう!」
舞が拳を上げて言うと
「はい!」
三成もエンジェルスマイルで答えた。
「早速、明日の戦略の再確認をして参ります。」
三成がそう言って立ち去って行くのを見送りながら
「舞、ありがとな。」
政宗が舞の頭を撫でて礼を言う。
「え?なにが?」
キョトンとする舞に
「ただ、礼が言いたくなっただけだ。気にするな。」
そう言って誤魔化した政宗は
(お前のおかげで三成は救われた)
そう心の中で思っていた。
同じように思った家康が
「いつも俺たちを救うのはあんただね。」
そう呟いた声は誰にも聞こえなかった。