第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり
〜秀吉目線〜
舞に最期の言葉を伝えて目を閉じた俺は、真っ暗な無の世界に落ちて行った。何も見えない、何も聞こえない。だんだんと自分のことも分からなくなって行く。暗い暗い闇の奥底に沈み込むーーその瞬間
パアアアーーー
突如、眩い光が俺を照らした。光はあっという間に俺を暗闇から連れ出す。それと同時に襲って来る全身の痛み。体は燃えるように熱く、息が苦しかった。
(この光は俺を助けてくれたわけじゃないのか?)
あまりの辛さにそんなことを思う。そして
(舞に会いたい)
そう願った。
それからひどい苦痛に晒されながら、時々訪れる心地良い感覚に幸せを感じる。そんな時間を長く過ごした。突如聞こえて来た
「秀吉さん、愛してる」
という愛する女からの言葉。
頬と唇に感じた甘い感触が離れて行くのが嫌で
「待て」
声にならない声で言い、必死に目を開けようとする。
「…ま…い…」
愛しいその名を口にすれば、一気に意識が浮上した。
「ん?ここは…」
掠れる声で言いながら、目を開けると
「まい…」
「秀吉さん!」
愛しい愛しい舞の姿があった。
力の入らない手をなんとか持ち上げて、涙に濡れるその頬を拭う。
「俺は…夢でも泣かせてばかりだな…」
別れを告げられた時から、夢に見る舞もいつも泣いている。
「笑顔が…見たい…」
そう俺が言うと、舞は困ったような顔で微笑んだ。
「…よかった」
安心した俺はまた目を閉じた。