第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり
〜舞目線⑤〜
「秀吉さん!秀吉さん!!」
泣き喚きながら
(私の気持ち伝えてない。秀吉さんに伝えなきゃ!)
そう思うと体が自然に動き出した。
秀吉さんの顎を持ち上げて気道を確保すると、側にしゃがみ着物の合わせを開いて胸の真ん中あたりを押して
「いちっ、にっ、さんっーーー」
と心臓マッサージをする。
「舞?!」
驚いた誰かの声が聞こえるけど、気にしてなんかいられない。
心臓マッサージが終わると、口に息を吹き込み人口呼吸をする。
人口呼吸が終わったらまた心臓マッサージをして、人口呼吸をして…それを繰り返した。
「いちっ、にっーーー」
必死で胸を押す私に
「舞さん、代わるよ。」
そう声を掛けてくれたのは
「佐助くん…」
「秀吉さんは死なせない。」
そう言う佐助くんの強い眼差しに勇気づけられて肯くと、私は再び人口呼吸をした。
どのくらい時間が経ったのだろうか。
数分のような気もするし、数十分のような気もした。
必死で心肺蘇生する私と佐助くんの思いが届いたのか
「プハッ」
秀吉さんが息を吹き返した。
「秀吉さん!!」
戻った呼吸を確認した佐助くんの
「もう大丈夫だ。」
その言葉に
「良かった…秀吉さん…よかった…」
涙が止まらなかった。
そんな私と佐助くんに
「良くやった」
信長様が言い
「…あんたすごいね。後は任せて。」
家康も言う。
三成くんは涙をボロボロ流して泣いていた。
そうして、一命を取り止めた秀吉さんは家康の治療のおかげで命の危機を脱した。