第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり
〜舞目線②〜
秀吉さんの心がとうに自分から離れてしまっていたことを知った私は、この世の終わりかというくらい落ち込んだ。言葉では言い表せないほどに悲しかった。みんなが心配すると分かっていても、どうしても気持ちを切り替えられず部屋に籠ること数日。見兼ねた光秀さんがやって来た。そこで光秀さんに
「…しばらく坂本城へ行きたい。」
と言えば、あっさりと許可してくれた。それでホッとしたのと、光秀さんの言葉と腕の中が温かくて私は声を上げて泣いた。
泣いて、泣いて、泣いて…。
そして私は決心した。
秀吉さんと『さよなら』すること。
坂本城へ移って、もう安土へは戻らないこと。を。
そうして顔を合わせた秀吉さんに
「秀吉さん、私たちもう終わりにしよう。」
そう告げた。
心が千切れそうに痛かった。
何も言わない秀吉さんに
「ごめんなさい。」
(無理に付き合わせてごめんなさい)
謝った。
「…理由は?」
そう尋ねられたけど、盗み聞きしたことなど言える訳がない。黙り込んだ私に
「…他に…好きな男ができた…のか?」
と秀吉さんが聞く。
(好きな人ができたのは秀吉さんじゃないの?)
そう思いながら
「……うん」
秀吉さんに気に病んで欲しくなくて嘘を吐いた。
そうして秀吉さんは
「気にするな。恋仲じゃなくなっても織田軍の仲間なことには変わりない。これからも仲間としてよろしくな?」
と笑顔で言った。
(やっぱり引き止めてはくれないんだね。でも、今まで…)
「…秀吉さん…ありがとう。」
我慢できずにこぼれ落ちそうになる涙を必死に堪えながら、お礼を告げた。
その後すぐに私は坂本城へ移った。
秀吉さんとはそれきりだった。