第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり
〜秀吉目線③〜
俺は夢を見ていた。
まだ、俺の側に舞がいた頃の幸せな夢。
「秀吉さん!」
舞が俺の名を呼ぶ。今となっては叶わない幸せな夢だった。
「秀吉さん!!」
夢の中の舞は何度も俺の名を呼ぶ。あまりに呼ぶので
「舞…」
思わず答えたところで、夢は終わった。
目を開ければ
「秀吉さん!」
最後に見た時と同じ、目に涙を溜めた舞の顔。
(ああ、まだ覚めてなかった)
夢が続いていることに安堵した俺は、現実の舞には告げられない言葉を口にする。
「舞…ごめんな。幸せにしてやれなくて…ごめんな」
お前にずっと伝えたかった。
「お前に会えて初めて生まれて来て良かったと思った。俺にいっぱい幸せをくれて、幸せを教えてくれてありがとな。振られたのに未練たらしいけど、一度だけ言わせてくれ。…舞、愛してる。いつまでもごめんな。でも、想うだけは許して欲しい。二度と会えなくてもずっとお前だけを愛してる。」
ああ、これで思い残すことはない。
俺は安心して目を閉じた。