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《イケメン戦国》時を越えて

第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり


〜光秀目線〜
舞と秀吉が恋仲になり、数ヶ月が過ぎた。
舞が秀吉を選んだのは意外だった。政宗と家康いわく『母親』のような存在の秀吉に舞が恋情を抱くとは思っていなかったからだ。舞が秀吉を想っていることに気付いた俺が
「ぶつかってみろ」
と後押ししたのは、お互いに想い合う二人がこのままではすれ違ったまま終わってしまうと思ったからだ。
舞には幸せになって欲しいと心から思っている。秀吉なら間違いなく、舞を大事にしてくれるだろうという信頼もあった。だから迷わず背中を押したのだ。

そうして恋仲になった二人を見た時に、舞がなぜ秀吉を選んだのかがようやく分かった。舞は秀吉の前なら心から笑えるのだ。秀吉の懐の深さと優しさがそうさせるのか、安心し切った顔で秀吉の側にいる舞は本当に幸せなんだと分かった。
(舞を嫁に出す日も近いか…)
そう実感し、悔しくなった俺が
「すぐには嫁にやらん。」
秀吉に言うと
「今はまだそこまでは考えてない。」
と返って来る。予想外の答えに驚きと疑問が湧いたが
「…そうか」
と一言だけ返した。

思えば、最初の違和感はそれだった。その後も秀吉が俺と舞を苦しそうに見つめる姿や、数ヶ月経っても男女の仲になってないであろう二人を見て違和感はどんどん大きくなって行く。秀吉が本気で舞に惚れていることに間違いはない。だが、いつまで経っても一線を引いた付き合いしかしない秀吉の行動はどうにも理解できなかった。
(なにか理由があるのか?)
そう思うが、俺が聞いたところで答えはしないだろう。いくら考えても分からないその理由が、歯痒くて堪らなかった。

そしてある日を境に舞も秀吉も様子がおかしくなった。二人とも塞ぎ込み、溜め息ばかりついている。
(喧嘩でもしたか?)
そう思い、仲直りのきっかけでも作ってやろうかと舞の元を訪れれば
(これは喧嘩なんかじゃない)
そうはっきり分かるほどに、憔悴した舞の姿。
「なにがあった?」
思わず声を荒げた俺に、舞はただ首を横に振り
「…しばらく坂本城へ行きたい。」
そう言った。
「…分かった。お前の好きなようにして良い。」
そう答え
「思い切り泣いて吐き出せ。」
舞を腕に抱き、そう告げると
「ううっ…光秀さん…わあああーー」
舞は声を上げて泣いた。

その後、秀吉との関係を終わらせた舞は坂本城へと居を移し、秀吉と舞がその後会うことはなかった。
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