第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり
〜秀吉目線〜
俺は決めた。例え舞の気持ちが光秀に傾いていようとも、俺は舞を諦めない。もう一度、俺を見てくれるように死ぬほど努力しようと。
舞が光秀に縋り付いて泣く姿を見た俺は、怒りや悲しみなどなく
(舞を誰にも渡したくない)
それだけしか考えられなかった。
俺の過去は消せない。
消せないなら隠さずに俺の全てを話し『これからの俺を見て欲しい』そう舞に願おうと思った。
舞とこれから先の人生をともに歩めるなら、俺のちっぽけなこだわりなどどうでも良くなっていた。俺の中で一番大事なことは『舞と過ごす時間』。その何にも代わりの効かないものを守るために覚悟を決めた。
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そして、舞と向き合った開口一番
「秀吉さん、私たちもう終わりにしよう。」
俺の気持ちを伝えるより先に、舞に別れを告げられた。あまりの衝撃に言葉が出ない俺に
「ごめんなさい。」
舞が謝る。
「…理由は?」
「……」
そう聞いた後に
「…他に…好きな男ができた…のか?」
「……うん」
(ああ、もう遅かった)
なぜ、そんなことを口にしたのかと死ぬほど後悔した。舞が光秀に心変わりした現実など知りたくはなかった。
「本当にごめんなさい。」
再び詫びた舞に
「気にするな。恋仲じゃなくなっても織田軍の仲間なことには変わりない。これからも仲間としてよろしくな?」
精一杯、大人ぶって強がってそう告げる。
(誰か夢だと言ってくれ!)
心の中でそう叫ぶが
「…秀吉さん…ありがとう。」
そう返した舞の言葉に、これが現実なのだと思い知る。
どうやって御殿に帰り着いたのか分からない。
自室の襖を閉めた途端に崩れ落ち
「…ううっ…舞…」
悲しみの闇に呑まれた。
舞という光を失くした俺には、この先は暗闇の日々しかない。