第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり
ーーー時は遡り。
舞の抱える秘密を隣の部屋で密かに聞いていた光秀は、舞の告白に居た堪れず、広間の襖を開いた。
「ーーーっ!…み…つひで…さん…ど…して…」
開いた襖の先に立つ光秀に驚いて目を見開く舞を真っ直ぐに見つめ、光秀は舞に歩み寄って行く。
ーーー刹那
光秀が舞を掻き抱いた。
「全くこのバカ娘は…」
そう言う光秀の声が震えている。
「お前一人を背負うくらい、造作もない。」
「えっ?」
「お前が俺を案ずるなど、500年早い。それに、お前は弱くない。大丈夫だ。」
「…光秀さん…聞いて…?」
「ああ。良く頑張った。良い子だ。」
そう言って頭を撫でる光秀。
「……ううっ、うわぁーーん!」
舞は子どものように泣き出した。
大泣きする舞の背中を、いつかと同じように光秀が大きな手で優しくさする。
「ヒクッ、ヒクッーー…うっ、うっ」
次第に落ち着いた舞はポツリポツリと話し出した。
「この…時代に来て…光秀さんに会った時…ほ…んとは…嬉しかった。血が…繋がってる人に…会えて…。」
「ああ。」
「会えて…良かった。」
そう言って泣き笑いした舞を光秀は優しい目で見ていた。
「じゃあ、これで帰る理由はなくなったな?」
落ち着いた頃に政宗がそう問うと
「…うん…良いのかな…」
舞が不安そうにする。
「良いに決まってんだろ!光秀、だよな?」
そう言う政宗に
「舞、お前の面倒は俺が見る。血の繋がった…いわゆる家族だからな。何も心配せず、ここに残ると良い。」
光秀が舞の頭をポンポンとしながら答えた。
「…光秀さん…ありがとう…ございます。」
それを聞いて、目に涙を浮かべた舞が光秀に頭を下げる。
「ああ。これからはありままのお前で生きろ。」
「…はい。この時代で『明智舞』として生きて行きます。」
そう言って笑い合う二人を皆が穏やかな顔で見ていた。
そして
「うまくまとまった事だし、今夜は宴だな。」
信玄が言い出すと
「朝まで飲み明かすか!」
秀吉が乗る。
「じゃあ、つまみでも作って来るか!」
政宗は厨へと駆けて行った。
「舞が残ってくれて良かった。」
義元が嬉しそうに微笑むと
「はい。こんなに嬉しいことはありません。光秀様とのことも本当に良かったですね。」
三成も満面の笑みを浮かべた。