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《イケメン戦国》時を越えて

第5章 時を越えて〜適正試験〜


昨日は早々に眠りについたおかげで今朝はスッキリ目覚めた。
今日からここでの生活が始まる。用意された衣装に着替えて髪を整えていると、
「舞姫様、おはようございます。」
襖越しに声がかかった。
「おはようございます。」
笑顔で襖を開ければ、昨日もお世話になった女中さんが廊下に控えていた。
「お着替えのお手伝いに伺ったのですが…ご自分で着替えなさったのですか?」
準備万端の私を見て驚く女中さん。
「私、着付けは一人でできるし髪も結えるので、お手伝いいただかなくても大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます。」
そう言って頭を下げれば更に驚いて
「姫様に頭を下げていただくなんて…。もったいのうございます。」
「感謝の気持ちで頭を下げるのは当たり前ですから。それに、私は姫なんてものじゃないので、姫様はやめてください。」
そう伝えると困ったように笑いながら、
「承知いたしました。では、舞様。お手伝いが必要な時はお声かけくださいね。」
と肯いてくれ、
「はい!ありがとうございます。頼りにしてます。」
と二人で笑った。

ーーー数日後
いよいよ適正試験が始まる。
最初は『流鏑馬』。この時代では『矢馳せ馬』と言うらしい。馬で掛けながら弓を的に射る。
「乗馬と弓術を一緒にできるから効率が良いのでは?」と私が言うと、みんな驚きながら同意してくれた。

矢馳せ馬は馬との意思疎通が最も大事で、馬を上手く操らなければ綱を離して走ることは難しい。
数日前から今日乗る馬、『疾風(はやて)』とはコミュニケーションを取って来た。黒くツヤツヤとした毛並みが特徴の疾風はとても賢く、安定感も抜群だ。
「疾風、今日はよろしくね。」
そう挨拶して立髪を優しく撫でて、始まるまで相棒との時間を過ごす。

矢馳せ馬は安土城近くの野原にセッティングされた的場を馬で駆け抜けながら、3つの的に弓を射る。

始める前に弓を空で引き、弦の具合を確かめる。
(ちょっと固いけど、引きを調整すれば問題ない)

馬も弓も準備万端。
後は始まるのを待つばかり。
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