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《イケメン戦国》時を越えて

第19章 時を越えて〜分岐〜信長ver.後編 ※R18あり


ーーー同じ頃、安土城。
舞とお市は庭を散歩していた。氏直を心配し落ち込むお市を少しでも元気付けようと、舞が誘い出したのだ。幼い姉妹のように手を繋いで歩く二人を城の者たちは微笑ましく見守る。長月に入ったと言っても日中はまだまだ暑い。日が高く登り、気温が上がり始めた中で散歩することを心配した秀吉が
「舞ー!どこにいるんだ?そろそろ中に戻って茶でも飲め。お市様も!」
庭の奥に入り込んで姿の見えない二人に大きな声を掛ける。
「はーい!」
舞も大きな声でそう返事し
「お市様、中へーーーっ、きゃっ!」
お市へ声をかけようと振り向いた途端、繋いでいた手が引き離された。その勢いに尻もちをつく舞。驚いてお市を見れば
「お市様!!」
お市が何者かに連れ去られようとしていた。

「秀吉さん!!!」
あらん限りの声で舞が叫ぶと同時に、竹蔵と九兵衛が現れ敵と対峙する。敵の数は数十名。皆、忍びの装束を着ている。
「舞様は中へ!」
竹蔵に言われ、舞は尻もちをついたまま後ずさる。すると
「舞!」
駆け付けた秀吉に抱え上げられ運ばれる。
「お前はここで大人しくしてろ!」
室内へ運んだ舞を家臣に預けた秀吉は、数名の家臣と飛び出して行く。それを見た舞は
「見張り台へ行きましょう!」
そう叫んで駆け出した。慌てた家臣が
「舞様!お待ちください!!」
大声で呼びながら追いかけるが、舞はあっという間に見張り台へと辿り着く。
「ここからなら良く見える。」
そう。見張り台からは庭の様子も一望できるのだ。

見えた先には、数十名の敵と争う竹蔵、九兵衛、秀吉と家臣たちの姿。相手が忍びとあって、苦戦しているように見える。
「お市様は?」
姿の見えないお市を探すと、戦闘に紛れて二人の敵に連れ去られそうになっていた。
「お市様!!」
そう叫ぶが、怒号が飛び交う場へは届かない。お市は手足を縛られ抱え上げられて城門近くまで運ばれている。
(このままではお市様が!)
そう思った舞は隣にいる見張り兵から弓を奪い、舞を追いかけて来た家臣に
「あなたはお市様を助けに行って!」
そう叫ぶ。一瞬、呆気に取られた家臣はすぐに我に返ると
「はっ」
そう答え、駆け出して行った。舞はそれを確認するとスゥッと息を吸い込み、弓を引き、狙いを定めて矢を射った。

シュッーー
同時に二本放たれた矢は、二人の敵のそれぞれの脹脛に突き刺さる。
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