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《イケメン戦国》時を越えて

第18章 時を越えて〜分岐〜信長ver.中編 ※R18、R20あり


階段から落ちた時に聞こえた二つの声。
あれはーー
「あの時…聞こえた声は…三太郎さんは上から…九兵衛さんは…下から…」
そこまで言って、舞は確信する。
「私を庇って…?」
途端に大粒の涙が舞の頬をいくつも流れる。

「下ろしてください!」
そう言って腕の中で暴れる舞を、信長は九兵衛の側に下ろす。
舞は九兵衛の手を両手で握り
「九兵衛さん…ごめんなさい。私のせいでごめんなさい。」
何度も何度も謝って、しばらくの間、九兵衛の側で泣き続けた。
そんな舞に、床に座っていては体を冷やすと心配した光秀が
「舞」
声を掛けたその時ーー

「ううっ…」

「九兵衛さん?!」
「九兵衛!」
九兵衛が意識を取り戻した。

「うっ…舞…様…ごぶ…じで…」
意識を取り戻してすぐに自分を心配してくれる九兵衛に
「わあああんーー九兵衛さぁんーー」
舞は縋り付いて大泣きした。
その様子に、九兵衛はボヤけていた意識が戻り、ハッとする。
「…舞様、お怪我は?お子は無事ですか?」
「…ヒクッ、九兵衛さんの…ヒクッ…お…か…ヒクッ」
しゃくり上げて泣いていた舞は、九兵衛の言葉に上手く返せない。すると、すぐ側にいた信長が
「貴様のおかげで舞も子も無事だ。礼を言う。」
代わりに答える。それを聞いた九兵衛は
「よかった…」
そう一言呟くと再び目を閉じた。頬には一筋の涙が伝っていた。

「舞、ちょっと離れて。」
側にいた家康が、九兵衛に縋り付いていた舞に言う。舞が素直に体を起こすと
「わっ」
信長の膝の上に抱え上げられた。
「信長様?!」
「床に座っていては体を冷やす。」
「でっ、でも!みんないるのに…」
「構わん」
恥ずかしがる舞に信長が言うと
「あんたはそこで大人しくしてて。」
家康も同調する。
「…はい」
そうして大人しくなった舞の側で、家康が九兵衛を診る。

「意識が安定するまでは、目覚めたり眠ったりを繰り返すと思います。頭を強く打ってるけど、瘤になっている位置からすると命の危険はなさそうです。後は褥に寝かせて外傷を診ますが…」
「客間を使え」
「信長様!それは…」
家臣に城の客間を使わせるわけにはと光秀が止めようとするが
「九兵衛は俺の大事な命を2つも救った。丁重にもてなすのは当然だ。」
信長の言葉に
「…誠に恐れ入ります。」
光秀は目を潤ませて礼を言う。
周りの者たちも信長の言動に心を打たれていた。
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