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《イケメン戦国》時を越えて

第18章 時を越えて〜分岐〜信長ver.中編 ※R18、R20あり


一方、客間に運ばれた舞は家康に診察されていた。
意識のない舞の体の向きを家康と信長で慎重に変え、着物を脱がせて背中を確認する。
「目立った外傷はないですね。」
「ああ。」
「九兵衛がクッションになってくれたおかげで、落下の衝撃はそれほどなかったのかもしれません。頭も打っていないようなので、直に目を覚まします。……後は、腹の子です。」
「……」
「このまま、仰向けに戻します。俺は腹を触診するので、信長様は性器からの出血がないか確認してください。」
「…分かった。」
そうして、家康は腹に外傷がないかを確認したあと、触診した。
「触った感じは問題なさそうです。出血はどうでしたか?」
家康が尋ねると
「……どうすれば良いのだ?」
と信長は困った顔で言う。
「ーーっ!俺が診ます!」
そう言って、性器を確認する家康は医師の顔。邪な気持ちなど全くないことが分かった信長は、何も言わず見守っていた。

手拭いで性器を拭い確認する家康。手拭いに付いた血液はごくわずか。
「はー。大量に出血するようなら、流れてしまった可能性が高いけど、このくらいなら大丈夫。でも、出血がある以上、危険な状態には変わりないので、しばらくは絶対安静です。食事は普段通りで良いけど、歩くのは絶対ダメ。湯浴みはもちろん、厠もダメです。嫌だろうけど、部屋で桶に用を足すようにします。」
着物を戻しながら家康が言うと
「…そんなに危険なのか?」
信長の顔が青ざめた。
「万が一を考えるとこのくらいしないと。目を覚ましたら光秀さんの執務室に運びます。」
家康の言葉に安堵の表情を見せたが、
「…天主ではいかんのか?」
と今度は不満気に言う。
「光秀さんの部屋なら何かあった時に俺が駆け付けやすい。天主では遠過ぎます。」
「……」
「舞と子のためです。聞き分けてください。」
「…分かった」
「ぶっ」
不機嫌な顔で渋々言う信長を家康が笑う。
「なんだ」
「こんな余裕ない信長様、初めて見た。」
「…此奴に関しては余裕などない。この俺が振り回されてばかりだ。今だって、なぜ『厠に行ってくる』と出て行った奴が、階段から落ちて寝ている?訳が分からん。」
「ブハッ!アハハハッーー大方、光秀さんの執務室で昼寝でもするつもりだったんでしょ。」
「…それなら天主で休めば良いではないか」
初めて見るコロコロ変わる信長の表情が家康は楽しくて仕方なかった。
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