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《イケメン戦国》時を越えて

第18章 時を越えて〜分岐〜信長ver.中編 ※R18、R20あり


その様子を見ていた家臣の一人が
「終わったな…」
そう呟く。近くにいた幸村が
「『終わった』ってなにがだ?」
と尋ねると
「えっ?あっ、真田殿!それは…その…」
と焦り出す。
「なんだ?そんな焦って。言いづれえことなのか?」
再び尋ねると
「コイツの口からは言いにくいだろうな。」
「政宗様!」
騒ぎを聞きつけて厨からやって来た政宗が言った。

「ふーん。じゃあ、お前の口から言え。」
そう言う幸村に苦笑いすると
「お前、『織田の三恐』って知ってるか?」
「三強?」
「ああ、きょうは恐怖の『恐』で『三恐』な。」
「あー、信長とかか?」
「まあ、普通はそう思うよな。でも、その三恐の中に信長様の名はない。」
「はっ?」
「怒らせるのはご法度な三人。光秀と三太郎殿そして…信興様だ。この三人を『織田の三恐』って言って、家臣たちはビビってる。」
「……」
「普段はほとんど感情の起伏のないこの三人を怒らせると…感情を抑えるのが常の人間が、抑えるのをやめると…どうなると思う?」
「……」
「三人から受ける報復に比べたら、討ち首にされた方がまだマシらしいぞ。本気で怒ったこの三人には信長様でも何も言えないらしいからな。」
「って、ことは…」
「その『三恐』を一遍に怒らせちまったあの姫は終わりだな。しかも、今回は舞が絡んでる。光秀と三太郎殿の怒りはものすごいだろう。ちなみに信興様は信長様をめちゃくちゃ慕ってる。舞はその大事な兄上の大事な女だ。…大名も一族諸共、終わりだ。」
「……」
黙り込んだ幸村の視線の先には、その『三恐』が勢ぞろいしている。三人から発せられる静かな怒りのオーラに幸村は思わず身震いした。

「ちなみに『三恐』だけじゃねえ。家臣たちも相当、舞を慕ってるからな。俺たちもいるし、三恐が動かなくてもどのみち終わりだ。」
「……」
「舞は誰に対しても優しい。そして平等だ。身分なんてあいつには何の関係もない。困ってるヤツがいれば手を差し伸べるし、腹を空かせてるヤツがいれば自分のものが無くなっても分け与える。そんな女だ。慕われないはずがねえよな。」
「そうだな。春日山でも俺の城でも、みんな舞を褒めてた。」
「だろ?その舞が傷付けられた、しかも腹には子がいるとなれば、誰も黙っちゃいねえってことだ。例え舞が望まなくてもな。」
(俺もだ。絶対許さねえ)
幸村はそう心の中で怒っていた。
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