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《イケメン戦国》時を越えて

第17章 時を越えて〜分岐〜信長ver.前編 ※R18あり


「光秀さん…お願いがあります。」
「なんだ?」
「佐助くんに文を出したいんです。」
「分かった。手配しよう。」
「ありがとうございます。」
舞に少し笑顔が戻った。
「舞」
「はい」
「もうつわりが始まったのだろう?」
「…はい」
「いずれ皆にも悟られるぞ?」
「それは覚悟してます。」
「信長様にも…」
「大丈夫です!この子の父親は、現代の人だってみんなには言うつもりです。」
「お前は…」
舞の健気さに、光秀は目の奥が熱くなった。思わず舞を腕に抱く。
「お前は本当に強いな。俺が付いている。お前は何も心配せず、体を大事にしろ。」
「…ううっ…あり…が…」
「良い。分かっている。」
「ううっ、わあああんーー」
光秀の腕の中で舞は声を出して泣いた。今まで溜まっていた苦しみを吐き出すような悲しい泣き方だった。

そして、泣き疲れた舞はそのまま眠ってしまった。
「今夜は側にいてやろう。」
光秀はそう言って、褥をもう一組持って来させ、そこに舞を寝かせた。

「九兵衛」
襖の外に光秀が声を掛けると、わずかに襖が開き
「はい」
と九兵衛が答える。
「聞いていたか?」
「…はい」
「頼むぞ」
「はい…光秀様」
「なんだ」
「よろしいのですか?」
「……」
「差し出がましいことを申しました。」
「いや…九兵衛」
「はい」
「舞にとっての幸せとはなんなのだろうな?」
「私などには分かりかねますが…今は光秀様がお側にいらっしゃることが幸せなのではと…」
「そうか…そうだと良いけどな。」
九兵衛は光秀に叩頭すると、襖を閉めてその場を座した。


ーーー数日後、春日山。
「はー。やっぱり帰るのか…」
舞からの文を読んだ佐助は、すぐに謙信の元へと向かう。
「謙信様」
「なんだ」
「舞さんが、帰ることに決めたそうです。俺は本能寺まで送るので、しばらく留守にします。」
「俺も参るぞ」
「えっ?」
「すぐに立つ」
「待ってください!」
そう言って今にも出て行きそうな謙信を慌てて止める。
「なんだ」
「謙信様が行くなら信玄様たちにも声を掛けないと、後でなんと言われるか…」
「…ふんっ。早くしろ」
「はい」
こうして、信玄たちも同行することになり、春日山組は揃って出立した。
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