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《イケメン戦国》時を越えて

第16章 時を越えて〜分岐〜幸村ver.後編 ※R18あり


ーーー時は遡り、数年前。
毛利との決戦の後、毛利の領地は織田、上杉、武田で分割した。そして、村上水軍の有していた海域は九鬼水軍が治めることとなった。これに恐れをなした四国・九州の国々は戦わずして織田軍傘下に降り、信長の大望は予定よりもずっと早く成就した。

「信長様、『天下布武』おめでとうございます。」
祝いの宴に訪れた舞が、信長にそう言って酌をする。
「ああ。貴様も大儀であった。」
「ええっ?私は何もしてないですよ!むしろ迷惑かけてばかりで…」
舞がそう言えば、
「貴様が500年の時を越えて俺の前に現れなければ、今日この時はなかった。貴様は俺の命を救い、俺に幸運をもたらした。」
「信長様…」
「一番の功労者は貴様かも知れぬな。」
「そんな…」
「貴様がいなければ、上杉、武田との和睦はなかった。毛利にはこちらが動く前に、安土を火の海にされていたかもしれぬ。何より、あの時本能寺で俺の命は顕如の前に散っていたであろうな。」
「……」
「光秀も三太郎も、他の奴らも貴様に出会って変わった。」
「そうでしょうか?」
「ああ。貴様は闇に光をもたらした。光秀も三太郎も…そしてこの俺も、これからは何も見えぬ闇で迷うことはない。光の指す方へ進めば良いのだからな。」
「信長様…そんな風に言っていただけるなんて…ううっ」
信長は感激のあまり泣き出した舞の頬を優しく拭う。
「舞」
「はい」
「これから先もずっと幸いであれ。貴様が幸いである限り、この日ノ本の未来は明るい。」
「はい。信長様も…信長様も幸せでいてください。たくさん楽しいことをして、たくさん笑って?」
「…ああ。そうだな。貴様や彼奴らがいる限り、そうなるであろう。」
「はい。私、この時代に来て、信長様やみんなと出会えて良かった。あの時、信長様を救えて本当に良かったです。大好きな人にたくさん出会えて、家族もできて本当に本当に幸せです。」
そう言って舞は輝く笑顔を見せた。

それから時は経ち、小さな小競り合いはあるものの、日ノ本は安穏な日々が続いていた。
それとともに武将たちの担う職務も変化して行き、家康は医術の道をさらに極め、三成は童たちへの手習い所を作り、知識を与えた。秀吉は茶の湯にのめり込み、茶人としての道を同時進行している。政宗は奥州に大きな食事処を作り、食べるのに困る貧民たちに美味い飯を食わせることに生き甲斐を感じていた。
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