第16章 時を越えて〜分岐〜幸村ver.後編 ※R18あり
「それから、一番分かってねえのは俺のお前への気持ち。…俺はどんなお前だって好きだ。怒ってても喧嘩してても、どんな時でもお前の全部が好きだ。お前はただ隣で笑ってるだけでいい。『役に立とう』とか『自分じゃダメだ』とか思う意味が分かんねー。お前になにかして欲しくて隣にいるわけじゃねえ。お前が好きだから一緒にいたい。ただ、それだけだ。
…お前が俺のためになにかしてえって思うんなら、側にいろ。…俺から離れるな。」
「ゆっ、ゆきむらぁ…ううっ。私も…はなれたく…ないっ。す…き…」
幸村の言葉に号泣する舞を幸村がギュッと抱きしめる。
「おー。ずっと…ずっと側にいろ。」
舞の涙が落ち着いた頃、
「舞、顔見せろ。」
幸村に言われて顔を上げると
「愛してる。…俺の妻になって欲しい。」
そう言って、幸村は触れるだけの口付けをする。
「俺は一生、お前だけを愛し続ける。俺の妻はお前一人。お前も俺を『たった一人』にしろよ。」
幸村からの真摯な愛の言葉に舞の心が震える。
「幸村、私も幸村を愛してる。ずっと一緒にいたい。幸村のお嫁さんになりたい。」
幸村は舞の返事に太陽のような笑顔を浮かべた。
「安土に着いたら、光秀に祝言の許しをもらいに行く。」
「うん。」
「許してもらえるまで帰らねーから。」
「うん。…えっ?」
「城のヤツらが『お前を嫁にできるまで帰って来んな』って。」
「ええっ?!」
「『お前を逃したら家臣辞める』ってアイツら。」
「…そんな。嘘だよね?」
「本気じゃねえか?目がマジだったし。」
「……」
「まあ、そんなんなくても、諦めるつもりはねーけど。お前だけは何があっても諦めない。」
「幸村…ありがとう。」
「おー。二人で幸せになろうな。」
「はい。」
そうして二人は約束の口付けを交わした。
「幸村、あのね。」
「んー?」
「これから幸村と手を繋ぐ時は、こうやって繋いでいい?」
舞はそう言って、お互いの指と指を絡ませる。
「これは『恋人つなぎ』って言うの。」
「恋人つなぎ?」
「うん。恋仲の相手や夫婦だけの特別な繋ぎ方。幸村とだけ『恋人つなぎ』する。」
「…おー。分かった。」
「あとはね、こうやって腕を絡めるのもーーチュッ!口付けするのも、その先も…幸村だけだよ?」
「……/////」
「幸村?」
「もう我慢できねー。お前の全部、俺に寄越せ。」
「…はい」