第16章 時を越えて〜分岐〜幸村ver.後編 ※R18あり
幸村が舞の手を引いて連れて行った場所は、城下を抜けた先にある野原だった。一面に咲き乱れるひまわりに
「わあ、すごくきれい。」
舞は目を輝かせる。
「今日はここにお前を連れて来たかった。だから、頑張って政務を終わらせた。ここでお前とゆっくり話したかった。」
「…幸村」
「気に入ったか?」
「うん!とっても。連れて来てくれてありがとう。」
「おー。」
嬉しそうに輝く笑顔を向ける舞に、幸村の顔も綻んで行く。
二人で野原に座り、暫しひまわりを鑑賞する。
「幸村」
「ん?」
「ありがとう。」
「おー。」
「今日だけじゃない。いつも私を笑顔にしてくれてありがとう。」
「……」
「私のために、幸村にとって本当は嫌なことを我慢してくれてありがとう。みんなと手を繋ぐことも、信玄様の馬に乗ったことも…。きっと私が気付かないこともたくさん我慢させてるよね?幸村が我慢してることを分かってるのに、自分の気持ちを優先させてばかりでごめんなさい。幸村に甘えてばかりで…」
「……」
「安土に帰ることを相談もしないで勝手に決めちゃったことも、ごめんね。何も言わずにいてくれて、安土まで送り届けるって言ってくれてありがとう。嬉しかった。幸村と離れるのは不安だけど、幸村の隣に立っても恥ずかしくない自分になりたくて…。迷惑かけて頼ってばかりじゃなく、私も幸村の役に立てるようになりたい。安土でいろんなことを学んで役に立てる私になるから、その時はまた側に居させてくれる?」
「……お前はやっぱり分かってねー。」
「えっ?」
「俺は我慢なんてしてねえ。そりゃ、俺以外のヤツと手を繋いだり、他の男の馬に乗るのを見るのは面白くねー。面白くねえけど、それよりもお前の笑顔が見たい。お前の笑顔が見れたら、面白くねえ気持ちなんて吹っ飛ぶ。『あー。舞が笑って良かった』って思う。だから我慢じゃねえ。お前が大事に思うものを俺も大事にしたい。それだけだ。」
「……」
「俺からすると、お前の方がよっぽど我慢してる。人のことばっか優先して、自分のことなんか後回し。だから、俺といる時くらいは自分のやりたいようにやればいいのにっていつも思う。俺にまで気違って、溜め込んで欲しくねえ。俺に頼って甘えて欲しい。そう思ってる。」
「…幸村」