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《イケメン戦国》時を越えて

第15章 時を越えて〜分岐〜幸村ver.中編


ーー翌日。
「うっ、んんーー」
「幸村様!」
ドタドタドタッーー
家康の適切な処置のおかげで、熱が下がり、顔色も良くなった幸村が目を覚ました。それを確認するや否や、家臣が慌てて家康を呼びに行く。

「んー、体がいてえ」
ボーッとする頭でそう呟いた時
「幸村!」
家康が息を切らしてやって来た。
「…家康?どうしてお前ーーっ!舞は?!ーーいってぇ!」
家康を見て我に返った幸村は慌てて起き上がろうとしたが、まだ開いたままの傷に激痛が走り、思わず声を上げた。
そんな幸村を見ていた家康は
「呆れた。目覚めてすぐにそれだけ元気なら、もう俺は要らないね。」
素っ気なく言う。
「お前が診てくれたのか?」
「そうだけど?」
「…ありがとな。」
「…別に。舞のついで。」
素直じゃない家康の返事に苦笑いしながら、
「舞は?」
幸村が聞く。
「…お前が起こさないと起きないってさ。」
「はっ?」
「だから、お前じゃないと目を覚まさない!」
「…また眠ったままなのか?」
「そう。」
「んっとに、アイツはしょーがねえな。」
「……」
「じゃあ、今から行くか。」
そう言って立ち上がろうとする幸村を
「ちょっと!倒れても知らないよ!」
家康が止めるが
「大丈夫だ。」
そう言って、ゆっくりと立ち上がり、よろよろと歩き出した。
「もう!見てられない!」
家康はそう言うと、幸村に肩を貸す。
「…ありがとな。」
幸村が言うと
「別に。倒れられたら迷惑なだけ。」
天邪鬼な言葉が返って来た。

ゆっくりと歩き、舞の部屋までたどり着いたところで
「村正は…」
家康が急に話し出した。
「……ダメだったのか?」
そう言って唇を噛む幸村。
「村正は舞の部屋にいる。」
「…そうか」
涙がこぼれそうになるのを堪え、なんとかそう答えると襖に手を掛ける。

「生きてるから。」
「はっ?」
「村正は生きてる。」
襖を開けると同時に飛び込んで来たのは、舞の傍に座り、自分に向かって尻尾を振る村正の姿。
「村正!!!」
幸村が呼べば嬉しそうに走り寄って来る。
「お前、無事だったんだな。…良かった。」
村正の首に顔を埋めて涙声で言う幸村。
「ウォン!」
一吠えして、村正もそれに答えた。
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