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《イケメン戦国》時を越えて

第15章 時を越えて〜分岐〜幸村ver.中編


一方、安土城広間。
信長は光秀からの早馬を受け取っていた。
「村上が謀った。」
信長が言うと
「こちらの読み通りでしたね。」
三成がニコリと笑う。
「さぁて、俺たちも行くか!」
政宗が言うと、家臣たちが出陣へ向けて動き出した。

そう、今回の村上水軍の裏切りは織田軍にとっては予定調和。しかも、それを謙信たちも予め知らされていた。あの場での話は、入り込んでいるであろう間諜を欺くための作戦。嘘のつけない佐助と幸村へは、舞を不安にさせないよう真実は伏せていた。そして
「信長様」
「なんだ」
家康が声を掛けると、信長が短く返事する。
「甲賀者と、今回は伊賀者も春日山へ送っています。」
「それで良し。」
ニヤリと信長が笑うと家康も口角を上げた。これも予定通り。軒猿が二分することを想定しての采配だった。

「では、行って参ります。」
「ああ」
今回は、信長と三成は城に残り、伊達軍と徳川軍、豊臣軍が堺の港で毛利軍と村上水軍を迎え撃つ。伊達の黒脛巾組も一緒に堺へ向かい、世鬼一族と対峙することになっていた。海上からは九鬼水軍、陸と海上での激しい戦いが予想される。
「久々に暴れまくれるな。」
嬉々として馬を飛ばす政宗を
「こら!政宗!勝手に行くな!」
秀吉が叱るが、
「お前たちは後からのんびり来い!」
そう言って、あっという間に先を行ってしまう。
「ったく!家康、俺らも行くぞ。」
「はあー。全く。あの人は。」
いつもの政宗の暴走に呆れながらも、秀吉と家康もスピードを上げた。

ーーー越後のとある港。
謙信たちは加賀へ向かったと見せかけ、国境を越える前にこちらへと進路を変更していた。隊には竜たち軒猿数名も合流している。謙信に報告し、事の真相を聞いた竜は
「……謙信様。」
「なんだ」
「佐助様は怒らせるととても怖い方です。」
「ーーっ、それがどうした。」
明らかに動揺している謙信に気付かないフリをして
「徳川へ行くと言い出されないと良いですが…」
「……」
「それでは、これで。」
振り返った竜の口角がわずかに上がっていた。

残された謙信。
「信玄、佐助の好物はなんだ?」
「はっ?急にどうした?」
「いいから答えろ」
「佐助の好物ねえ。『マキビシ』くらいしか思いつかんが…」
「『黄金のマキビシ』なら機嫌も直るか?秘蔵梅干しも…」
一人ブツブツ言う謙信を不思議そうに信玄が見ていた。
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